クラシック音楽の祭典【ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018】記者発表会レポート

左より:後藤康隆(三菱地所)、 廣野研一(東京国際フォーラム)、ルネ・マルタン、小澤弘一(豊島区)、梶本眞秀
左より:後藤康隆(三菱地所)、 廣野研一(東京国際フォーラム)、ルネ・マルタン、小澤弘一(豊島区)、梶本眞秀(敬称略)

 

5月3日〜5日に開催される音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」の記者発表会がとしまセンタースクエアで開催されましたので、その様子をお伝えいたします。

 

フランス北西部の都市ナントで誕生したクラシックフェス「ラ・フォル・ジュルネ」。2005年の日本初公開以来、13回で延べ780万人の動員を記録し、今や世界最大級のクラシック音楽祭へと成長したイベントです。

日本においても子供から大人まで自由にクラシックを満喫できる祭典として長く親しまれてきた「ラ・フォル・ジュルネ」ですが、14回目を迎える今年は開催エリアを池袋エリアへ拡大。これまでの東京国際フォーラムと丸の内エリアに加え、新たに東京芸術劇場と池袋エリアで同時開催することにより、これまで以上に彩りにあふれた音楽祭を目指します。

 

モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ

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佐藤可士和氏の手でデザインされたロゴマーク

今年のテーマは「モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ」
毎回斬新な視点からクラシック音楽の新たな楽しみ方を提示してきた「ラ・フォル・ジュルネ」はさらなる新境地を目指します。

池袋エリアへの拡大を機にネーミングも「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」と改称し、運営組織、ロゴマークも一新。さらには電子チケット「Quick Ticket」の導入や、「俺のフレンチ」とのコラボレーションによるオリジナル・メニューの販売など、まさにラ・フォル・ジュネの新たな船出を象徴するような挑戦的な試みが目白押しとなっています。

そのシンボルとなる新しいロゴマークは佐藤可士和氏の手によるもの。音楽本来の楽しさ、冒険心、自由な精神をコンセプトに制作されたもので、シンプルで幾何学的なかたちを組み合わせて構成されています。クラシックとは思えないポップな佇まいが印象的ですね。

 

豊島区長は自身のコスプレ姿とともに登場

挨拶に立った豊島区長の高橋之夫氏は自身のコスプレ姿の映像とともに登場(毎年コスプレされているそうです)。

「アート・ディレクターのルネ・マルタンさんには何度も豊島区を視察していただき、『これから変わっていくことのできる、可能性のある街だ』と高い評価をいただくことができました。これからルネさんが新しいアイディアを駆使しながら、街全体をコーディネートしてくれるのではないかと思っています。日本だけでなく、世界へ音楽を発信できるような素晴らしいまちづくりの一翼を担わせていただきたい」
と、「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」にかける期待と高揚感を語ってくださいました。

 

「亡命」の音楽史

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今年のテーマとその概要について詳細な解説をおこなってくれたのは、アーティスティック・ディレクターを務めるルネ・マルタン氏。いわばこの音楽祭の「仕掛け人」であり、「21世紀のクラシック音楽界に最大のイノベーションをもたらした男」として称えられるほどのプロデューサーです。

「今回のExil、『亡命』というテーマは4年前に決まりました。しかし当時は難民や亡命の問題がこれほど世界的に深刻になるとは予想していませんでした。今日、多くの難民が暴力に直面しているという状況があり、このテーマを見合わせようとも考えましたが、私はこの『亡命』という言葉に『悲劇』だけではない、違った意味を与えたいと思ったのです

 

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『亡命』という言葉には政治的な意味合いが強く、19〜20世紀の亡命者たちを想像されることと思います。確かに19〜20世紀には政治の悲劇により、ラフマニノフやショパンなど、多くの作曲家が移住や亡命を強いられました。しかしフランス語のExilには『故郷、離れる』という意味があり、今回の音楽祭では『精神的な亡命』、つまり心の奥底への亡命も扱うこととしたのです。自己の内部へと旅をしたロマン派や古典派の作曲家・・・ベートーヴェンやシューベルトなどがそれに該当するでしょう」

さらにユダヤのジプシー(ロマ)音楽、中世の放浪楽士たちの中世音楽、亡命を描いた映画音楽など、Exilというキーワードからそのプログラムは多様に展開します。クラシックという枠には収まりきらない、刺激的でオリジナリティあふれるプログラムはまさに「ラ・フォル・ジュルネ」の面目躍如といったところ。期待感が高まります。

 

ルネ・マルタン一押しのアーティストが映像とともに紹介された

ルネ・マルタン一押しのアーティストたちが映像とともに紹介された

「例えば今回、池袋と有楽町で別のソリストを起用するなどのアイディアがありました。なぜかというと池袋と有楽町の聴衆の方に混ざっていただきたかったのですね。ですからあえてクロージングのコンサート内容を池袋と有楽町で変えました。2つの場所でおこなわれる、1つの音楽祭。ですから聴衆が2つの場所を移動するのが理想であり、私の挑戦です。ぜひ、会場を『はしご』して聴いていただきたいと思います」

 

新天地を求め、池袋の地に降り立ったラ・フォル・ジュルネ。2つの会場を往復するというアイディアは、まるで「Exil」の疑似体験のよう。
ゴールデンウィークは、「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018」で刺激に満ちた「新しい世界」を体験してみてはいかがでしょうか?

 

公演情報

【ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018
UN MONDE NOUVEAU― モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ】
2018年5月3日(木・祝)、4日(金・祝)、5日(土・祝)
丸の内エリア(東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町)
池袋エリア(東京芸術劇場・池袋西口公園、南池袋公園)
約400公演(うち有料公演 丸の内エリア125公演、池袋エリア53公演)
チケット:一般発売 2018年3月17日(土)開始予定


開催概要はこちら:
https://home.ikebukuro.kokosil.net/ja/archives/24287

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