2018年3月28日、豊島区指定有形文化財である旧鈴木家住宅が、整備・改修を終え「鈴木信太郎記念館」として開館しました。
■黎明期に活躍したフランス文学者、鈴木信太郎
鈴木信太郎氏(1895年-1970年)は、日本のフランス文学研究の黎明期に活躍したフランス文学者。東京大学にて1921年より20年以上にわたってフランス文学を講じ、日本におけるフランス文学・語学の研究体制を確立させるとともに、門下から多くの研究者を輩出しました。特に、フランス近代の象徴派詩人ステファヌ・マラルメや、フランソワ・ヴィヨンを中心とした中世文学の研究において功績を残しています。
■2012年に区の有形文化財に指定
旧鈴木家住宅は、鈴木家が3代にわたり住み継いできた旧宅で、1928年建築の鉄筋コンクリート造の「書斎棟」、1946年建築の「茶の間・ホール棟」、明治20年代の建築で、1948年に鈴木本家(現 埼玉県春日部市)より移築した書院造の「座敷棟」という、建築年代・構造の異なる3棟より構成されています。
2010年に鈴木信太郎氏の次男でフランス文学者の鈴木道彦氏より豊島区へ寄贈され、2012年に区の有形文化財に指定されました。
■建築図面やフランス文学の資料を展示
鈴木信太郎記念館では、こうした歴史的建造物である旧宅を公開するとともに、建築図面などの建築資料を展示。また、フランス文学に関する著作と蒐集(しゅうしゅう)資料を5つのコーナーに分けて紹介しています。
鈴木信太郎氏が蒐集した稀覯(きこう)本のほか、交流のあった谷崎潤一郎や大佛次郎らからの謹呈本など、希少な書物を多く展示。書斎棟では、鈴木信太郎氏が自らデザインしたステンドグラス(5枚)も見ることができます。
27日に開催されたオープニングセレモニーで鈴木道彦さんは、「いよいよ開館ということで大変感慨深いです。1945年の城北大空襲から本を守った書斎棟が特に見どころだと思います」と語っています。
皆さまもぜひ、鈴木信太郎氏の功績に触れるとともに、歴史的な建築の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。
・施設概要
日時 | 開館時間:午前9時から午後4時半まで。 ※休館日:月曜日(祝日が重なる場合は翌日も)、第三日曜日、祝日、年末年始、展示替えによる臨時休館日あり。 |
場所 | 豊島区東池袋5-52-3(東京メトロ丸ノ内線新大塚駅より徒歩約3分) ※入館無料 |
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