手塚治虫、寺田ヒロオ、藤子・F・不二雄・・・。昭和を代表するマンガ家たちを多数輩出した伝説のアパート「トキワ荘」。トキワ荘は1982年(昭和57年)に老朽化のため取り壊されましたが、2020年3月には、トキワ荘のマンガ文化を伝えるための施設として「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」がオープンする予定になっています。
豊島区は区にゆかりのあるマンガ家のキャラクターをテーマにした「マンガの聖地としま!モニュメント」の設置など、地域と連携した取り組みを進めていますが、なんと今回、トキワ荘のあった南長崎エリアで開催されるのは「謎解きウォークラリー」。
今回、8月3日(土)〜9/29(日)までの期間に開催される「謎解きウォークラリー トキワ荘の記憶『消えたフクロウを追え!!』」のプレ体験ツアーが行われましたので、その様子をお伝えします!
謎解き体験 × 街歩き
「謎解きウォークラリー トキワ荘の記憶『消えたフクロウを追え!!』」は、マンガで書かれた指令書を読み進めながら、街に点在するトキワ荘ゆかりのスポットに隠された「謎」を解き、ゴールを目指すというもの。謎を解きながら街を散策することで「トキワ荘のあった街」をより深く知ることができ、最後の謎まで解くことができれば特製クリアファイルをゲット!
まさに夏休みにふさわしい、子供から大人まで楽しめる参加型イベントになっています。
指令書のマンガは、マンガ家のたまごを支援する「紫雲荘活用プロジェクト」の第1期生で、マンガ家・イラストレーターとして活躍する福田健太朗氏によるもの。豊島区民社会福祉協議会キャラクター(ふくじい、ふくみん)のデザインなども担当されているそうで、可愛くて親しみやすい絵柄が特徴的ですね。
ちなみに「紫雲荘」とは、赤塚不二夫が制作場所として部屋を借りたアパートのことで、今なお現存しています。
「マンガの聖地」を歩こう!
昭和のマンガ家たちが暮らした椎名町〜東長崎の街並みは当時の面影を色濃く残しており、散策しているだけでも当時の空気を感じられます。さらに、豊島区が進める「マンガの聖地としま!モニュメント」の設置により、街のいたるところにはトキワ荘の歴史がわかるモニュメントとテキストが。
さらに、指令書のQRコードをスマートフォンなどで読み取ることで音声ガイドを聞くこともでき、楽しみながら散策することで自然にトキワ荘の歴史を学べるようなプログラムになっています。
椎名町〜南長崎の各スポットをめぐり、たどり着いた南長崎花咲公園内は、「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」のオープン予定地です。この謎解きツアーも、トキワ荘を復元してミュージアムを作るという本プロジェクトにともない、「より多くの人をというだけでなく、この地元に住む若い方々にもトキワ荘の魅力を発信していきたい」という思いから企画されたもの。まさにこのツアーの中心的な存在です。
「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」は、トキワ荘の外観とマンガ家が住んでいた2階部分を忠実に再現して貴重な資料を収蔵し、まさに日本の貴重な「クールジャパンの聖地」となるもの。現在里中満智子さんを座長に計画が進められており、特別企画展・イベントなどが予定されています。
謎解きの難易度はどれくらい?
「謎解きプログラムには難易度の高いものも多いですが、今回は小学生でも大人と一緒に楽しめる(推奨年齢は中学生〜大人)ものを目指しました。謎解きとしての難易度もちょうど良く担保しながら、じっくり楽しめるようなプログラムになっていると思います」
と語ってくださったのはディレクターの山内氏。編集部も挑戦しましたが、難易度については「かなり骨がある」というのが正直な感想です。
今回謎解き制作を担当したのは、数多くのゲーム、謎解き、人狼イベントなどを企画制作してきたゲームデザイナー、眞形隆之氏。単なるスタンプラリーの延長線上ではなく、謎解きとしてもしっかり楽しめるイベントにしようという意気込みが伝わってきます。
「マンガの神様」に出会える旅
最後に、参加者の方々に今回のプレ体験ツアーについて感想を伺いました。
-所要時間としてはどのくらいでしたか?
1時間半ぐらいでしたね。街並みも体感しつつの時間としては、とてもちょうど良かったと思います。歩いた先に色々なモニュメントがあって、トキワ荘の歴史を実感できました。「歩く」ということが、すごく重要なモチーフになっているなと思いましたね。
-難易度はどうでしたか?
前半は答えを見つけやすかったですが、ここ(トキワ荘通りお休み処)に来てからが難易度が上がった印象ですね(笑)。大人が一緒にいたほうがいいかもしれない。でも、子供のほうが頭が柔らかいから、発想力の豊かさで有利かも。とにかく解いていく過程が楽しいです。
-マンガを読みながら解いていくという今回のスタイルについてはいかがでしたか?
とっつきやすかったですね。地図と音声ガイドもあるので、次に向かう目的地がわかりやすかったです。このプログラムだけでも楽しめますが、並行して別のスポットを見に行ったりしても面白いんじゃないかと思います。
-最後に、この謎解きラリーのオススメポイントを教えてください。
個人的にはトキワ荘に住んでいたマンガ家たちの人となりを知ることができて良かったです。『火の鳥』とか好きで読んでいたんですが、こういう雰囲気の中で描かれていたんだな、ということがよく伝わってきました。あと、池袋とはまた違う豊島区の雰囲気を感じられるのも魅力的ですね。
20歳前後の夢見る青年たちが切磋琢磨し、お互いを高めあったトキワ荘。そのトキワ荘から誕生したマンガ家たちから、今のマンガの礎を築いた新しいマンガの手法が次々に生み出されました。
近未来のAIにも負けない、トキワ荘のマンガ家たちの「創作する力」。
謎解きを楽しみながら、彼らを育んだ「聖地」をめぐる旅に出かけてみてはいかがでしょうか?
開催概要
謎解きウォークラリー トキワ荘の記憶『消えたフクロウを追え!!』
【日時】
2019年8月3日(土)〜9月29日(日)
一部施設内で解く謎があります。
※定休日:8月5日、13日、19日、26日、9月2日、9日、17日、24日
※景品交換可能時間:10:00〜17:30(8月3日は16:00まで)
【会場】豊島区南長崎エリア
スタート地点:
椎名町駅(豊島区長崎1丁目1-22)
東長崎駅(豊島区長崎5丁目1-1)
【料金】無料
【推奨年齢】
中学生から大人まで
※小学生も保護者の方と一緒に楽しめる内容です
【主催】東アジア文化都市2019豊島実行委員会/豊島区
【協力】西武鉄道、としま南長崎トキワ荘協働プロジェクト協議会
【内容】
街に点在するトキワ荘ゆかりのスポットに隠された「謎」を解きながらゴールを目指そう!まずはスタート地点で指令書を手に入れ、マンガを読み進めながら、各スポットに移動して謎を解き明かそう。最後の謎が解けたら景品をGET!
【謎解き制作】眞形 隆之(まがた たかゆき)
ライター、ゲームデザイナー、人狼伝道師。これまでに数多くのゲーム、謎解き、人狼イベントを企画制作。学研「大人の科学マガジン」「科学と学習」、ベネッセ「こどもチャレンジ」、アルティメット人狼、たほいや甲子゛園など。
【指令書 マンガ制作】 福田 健太朗(ふくだ けんたろう)
漫画家 イラストレーター。紫雲荘活用プロジェクト一期生。豊島区民社会福祉協議会キャラクター(ふくじい、ふくみん)のデザインを担当。