7月7日に『豊島区立トキワ荘マンガミュージアム』が、オープンします。
3月22日(日)にオープンの予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で開館が延期されていました。
当面の間は、新型コロナウイルス感染予防の観点から、密になることを避けて、事前入館予約制でスタートする『豊島区立トキワ荘マンガミュージアム』。
先日、記者内覧会がありましたので、その様子をお伝えいたします。
それでは、ご覧ください!
トキワ荘とは?
トキワ荘は、1952(昭和27)年に当時の町名豊島区椎名町(現・南長崎)に建てられた木造2階建てアパートです。
当時としては、ごく普通の2階建てのアパートでしたが、このアパートで昭和を代表するマンガ家たちが若手時代を過ごし、切磋琢磨してマンガ制作に取り組んだことにより、マンガが日本を代表する文化に発展を遂げることになります。
しかし、トキワ荘は建物の老朽化により、昭和57年(1982)年解体されてしまいます。
豊島区立トキワ荘マンガミュージアム設立の経緯
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムは、マンガ文化を作った昭和を代表するマンガ家たちの当時の様子を現代の人に伝えることを通じて、トキワ荘の歴史的意義、文化的価値を再評価するとともに、マンガやアニメを中心とした文化を発展させて、継承していくことを目指し、豊島区が平成28(2018)年から開館の準備を進めてきました。
建物は、手塚治虫や藤子・F・不二雄など、昭和を代表するマンガ家が若手のころに過ごしていた「トキワ荘」をできる限り忠実に再現しています。
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムで編集部が注目した展示を紹介。
1階 様々な角度からマンガを楽しめるフロア
玄関で履物を脱いで、まずは、1階へ。
トキワ荘マンガミュージアムの1階は、トキワ荘ゆかりのマンガや書籍を自由に読めたり、マンガ史年表、マンガ家のインタビュー上映などを行うマンガラウンジとマンガに関連した企画展示やイベントを行う企画展示室があります。
手塚治虫が「ジャングル大帝」を連載し人気を博した伝説的マンガ雑誌『漫画少年』も約100冊公開されています。
※『漫画少年』は、1947(昭和22)年12月に創刊し、1955(昭和30)年に廃刊になるまで、約8年にわたり本誌95冊、増刊6冊の合計101冊を発行した、日本のマンガ史に大きな影響を与えたマンガ雑誌です。
マンガ投稿欄が充実していたため、全国の漫画少年が競って投稿し、多くのマンガ家を輩出しました。
トキワ荘を再現した模型も展示されています。
洗面器を持って、銭湯へ出かけていく姿、のどかにキャッチボールをしている姿が見られます。
古き良き昭和のひとコマです。
トキワ荘の2階へ通じる階段を上り、木造アパート・トキワ荘をリアルに体験できるフロアへ
階段の床も当時のトキワ荘を再現して作られています。
ミシミシと鳴る床の質感を足元で踏みしめながら、2階へ。
この場所から、当時のマンガ家さんたちの生活する音が聞こえてくるようです。
2階 木造アパート・トキワ荘をリアルに体験できるフロア
■16号室(体験コーナー ~マンガ家になりきって写真を撮ってみよう!~)
トキワ荘の16号室は、赤塚不二夫の部屋でした。
赤塚不二夫は、トキワ荘だけでは手狭になり、トキワ荘の近くにある紫雲荘に並行して部屋を借りていました。
※紫雲荘 赤塚不二夫が仕事場兼住居として借りていたアパートで、現在も当時のまま残っています。
■18号室 マンガ家の部屋(山内ジョージ) 当時を再現した部屋
18号室は、山内ジョージの部屋を再現したものです。
当時、石ノ森章太郎のアシスタントとして働いていた山内は、この部屋に暮らしながら原稿の仕上げ作業を行いました。
映画のフィルムや棚の本は、自室がいっぱいで置けなくなった、石ノ森の私物だったそうです。
※石ノ森章太郎は、隣にある自室の17号室とは別に、この18号室を仕事部屋として借りていました。
■19号室 マンガ家の部屋(水野英子) 当時を再現した部屋
19号室は、水野英子の部屋を再現したものです。
水野英子が、トキワ荘に住むことになったきっかけは、石ノ森章太郎、赤塚不二夫と三人で「U・マイア」名義で、連載マンガを描くためでした。
■共同炊事場 当時を再現
トキワ荘には、住人が共同で使う、共同炊事場がありました。
各自がガスコンロや調理器具を用意して使用し、時には洗面所として、時には洗濯場としても使われていました。
内覧会の後に、記者会見が開かれました。
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムの内覧会の後に、記者会見が開かれました。
記者会見には、豊島区長の高野之夫 豊島区長、トキワ荘マンガミュージアム運営検討会議座長 里中満智子さん、としま南長崎トキワ荘協働プロジェクト協議会会長 足立菊保さん、文化商工部長 ・トキワ荘マンガミュージアム館長の藤田力さんの挨拶がありました。
〇高野之夫豊島区長の挨拶
「トキワ荘マンガミュージアムの開館により、この周辺が日本のマンガ・アニメの発展に貢献する拠点になってほしいという強い思いがあります」
「トキワ荘は、独自の才能の芽生えの象徴です。全員が誰かがやったことを真似することなく、独自の表現を追求していました。
ここにあるのは、決して、昭和の時代に集まったマンガ家たちの懐かしい夢のあとではありません。しっかりと検証することで、日本のマンガとアニメの歴史をきっちりと語れる場所になるべきなんだと思っています」
〇足立菊保さんの挨拶
「このトキワ荘マンガミュージアムが出来上がったことを、ただ喜ぶのではなく、本来のトキワ荘の価値をこれからの世代に伝え、世界に向け発信できればと思っています」
「トキワ荘マンガミュージアムを拠点にして、お休み処、マンガステーションなど、南長崎地域の回遊性のある街づくりを実現していきたいと思います。年間30万人の来館者数を目標にしております」
関連記事はこちら:https://home.ikebukuro.kokosil.net/ja/archives/68585
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムがある場所
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムは、都営大江戸線「落合南長崎駅」より徒歩5分、南長崎花咲公園内にあります。
この花咲公園は、春は梅や桜、夏にはクチナシ、秋は金木犀(きんもくせい)などの美しい花が咲き、姫リンゴやブルーベリーなどの実も楽しめるそうです
公園内には、トキワ荘ゆかりの地散策マップがあり、トキワ荘にゆかりのあるマンガ家さんたちにまつわるスポットが紹介されています。
トキワ荘跡地モニュメント、トキワ荘通りお休み処など、この散策マップを眺めているだけでも、楽しい気分になります。
実際に足を運んでみてはいかがでしょうか?
トキワ荘マンガミュージアムに隣接した場所にある、古本市場 ふるいちトキワ荘通り店さん。
トキワ荘に関係する作家さんたちが通った、音楽喫茶エデンの名を引き継いだカフェスペースで、コーヒーなどを飲みながら、店内の古書を楽しめます。
まとめ
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムの記者内覧会についてお伝えしてきました。
昭和のごくありふれた普通の2階建てのアパートには、マンガ家たちの大きな夢があふれていました。
この大きな夢から発展した日本のマンガ文化を、今の時代に継承し、世界に発信していく。
豊島区立トキワ荘マンガミュージアムの試みが、いよいよスタートします。
あなたも是非、このマンガの聖地へ出かけてみませんか?
施設情報
●名称: 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム
●住所: 東京都豊島区南長崎3-9-22 南長崎花咲公園内
●TEL/FAX: TEL:03-6912-7706 FAX:03-6912-7749
●開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
●休館日: 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)その他年末年始、展示替え期間
●入館料: 無料(企画展は有料の場合あり)
●公式ホームページ: https://www.tokiwasomm.jp/
※6月28日よりトキワ荘マンガミュージアム公式ホームページより予約を開始しております)
来館予約フォーム: https://tokiwasomm.jp/reservation/