2009年2月の初開催以来、計337作品、2349公演を上演し、合わせて72万人を超える観客を動員した国際舞台芸術祭「フェスティバルトーキョー(F/T)」。
同時代の舞台作品の魅力を多角的に紹介し、舞台芸術の新たな可能性を追求するF/Tは、今年で13回目の開催を迎えます。
本年は新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンラインを含め物理的距離の確保に配慮した形で開催します。
F/Tでしか出会えない国際共同プログラム、アジアのアーティストの新しい波に注目した作品など、本年も多彩で先鋭的なプログラムの数々が展開される予定です。
開催期間は、2020年10月16日(金)から11月15日(日)までの31日間。
先日、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して、オンライン上で、「フェスティバルトーキョー2020」全プログラムオンライン演目発表会が行われました。
今回はその様子をお伝えいたします。
それでは、ご覧ください!
フェスティバルトーキョー2020テーマは、「想像力どこへ行く?」
13回目の開催となるF/Tのテーマは、「想像力どこへ行く?」
今回の内容は、具体的にどのようなものなのでしょうか?
F/T ディレクター 長島 確氏のお話です。
「フェスティバルトーキョーは、今年で13回目、それ以前、別の名前で開催していたものと合わせると、30年以上の歴史のある舞台芸術のフェスティバルです。
毎年秋、単に作品を発表する機会としてあるものではなく、1年中開催される、文化交流のプラットフォームとしての役割を担ってきました。
今年は、皆さんもご存じの通り、新型コロナウイルスの収束が見通せない中、フェスティバルトーキョーの開催自体をどうするか、非常に悩みました。
コロナの影響は、この先も長い年月、続くものと思われます。
この先、コロナだけでなく、別の感染症が私たちの生活に影響を与えることがあるかもしれません。
そう考えたとき、単に今年のフェスティバルの開催を無理だと中止するより、そのような状況の中でもできることを見つけていこうと、今年のフェスティバルトーキョーを開催することに決めました。
今年のテーマは、「想像力どこへ行く」です。
想像力は、今も昔も大事なものです。
しかし、想像力は必ずしも思い通りに行くわけではありません。
そんな自由に使いこなせない想像力のポテンシャルをテーマに掲げられないかと、今回のプログラムを選びました。
アーティストの方たちが作り出す様々なプログラムが、想像力の問いかけになると思いますし、参加する方々の想像力も膨らみ羽ばたくものになると思っております。
このプログラムを通して、想像力は何かということを考えたり、想像力を生み出す良いきっかけになることを期待しています。
アートは、このコロナ禍で何かを探っていく重要な役割を担えるはずです」
フェスティバル/トーキョー20の注目のプログラムの一部を紹介
■『移動祝祭商店街』
セノ派(錘台美術家コレクティブ)〔日本/アートプロジェクト 〕
開催期間 未定
会場: 豊島区内商店街、トランパル大塚周辺(予定)
舞台美術の概念やテクニックを用いて、あらたな目線で「まち」や「みち」の存在を浮かび上がらせるコレクティブ「セノ派」が昨年に引き続きF/Tに登場します。
今回セノ派が創作のキーワードに掲げたのは、一人でいる方法。
様々なリサーチを重ね、リアルとオンライン、フィクションを駆使しつつ、現在のコロナ禍で集まることが困難な今の状況にこそ生きる、舞台美術家ならではのシーンを作りだし、街と人、もの、情報の出会いを演出します。
「このコロナ禍の一人でいなければならない身動きの取れない状況で、どうやって他者と繋がれるのか、未来を切り開いていけるのか、を街を描写するように、一人一人の体験を蓄積して、過去の街の風景と語りながら、記憶として紡いで、祝祭となっていくような作品になればと思います」
■『RENDEZ-VOUS(仮)
ファビアン・プリオヴィル・ダンス・カンパニー〔ドイツ/ダンス〕
ファビアン・プリオヴィル(コンセプト・振付)
会期中 計10日程度開催(予定)
会場: トランパル大塚 ほか(予定)
ピナ・バウシュ率いるヴッパタール舞踊団で活躍し、退団後は振付家としても活動している、ファビアン・プリオヴィルが、2010年ドイツ、デュッセルドルフを拠点に、設立したダンス・カンパニー、「ファビアン・プリオヴィル・ダンス・カンパニー」。
バーチャルリアリティーとダンスを組み合わせた作品作りに取り組んでいます。
観客は会場となるトランパル大塚 で、あらかじめ360度撮影されたダンス映像をVRセットを装着してベンチに腰掛けながら視聴する作品となっています。
ファビアン・プリオヴィル氏は、「このコロナ禍でも、フェスティバルのように、私たちが今集まり、一緒に何ができるのかに光を当てる、小さな真珠のような新しい体験を共有できる場所があることが重要です」と語ります。
■『夢の劇(仮)』
作:松井 周 演出:キム・ジョン 〔日本×韓国/演 劇〕
10/16(Fri)-10/18(Sun)(予定)
会場:あうるすぽっと
松井 周とキム・ジョンの昨年に続くコラボレーションです。
直球の演劇づくりを追求し続けるキム・ジョンと奔放な想像力と堅固な筆力にますます磨きのかかる松井周。
今年、上演するのは、スウェ―デンの劇作家・小説家アウグスト・ストリンドベリの「夢の劇」。
人間界に降り、その暮らしを体験する神の娘の目に映る物事を綴った近代古典をコスプレをはじめとした現代カルチャーを通じて読み直し、再構築します。
キム・ジョン氏は、この作品を選んだ理由を「人間の一番普遍的な話を扱っていたから」だと語ります。
■『わたしたちは、そろっている。』
出演:モモンガ・コンプレックス 振付・演出:白神ももこ 〔日本/ダンス〕
10/24(Sat)-25(Sun)(予定)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
振付家で演出家の白神ももこの下、シュールな感性と叙情をないまぜにした独自の作品世界を展開するモモンガコンプレックスによる新作公演です。
伊勢物語をはじめとする歌物語から着想を得てクリエーションします。
集まることが当たり前ではなくなった、現在の状況にこそ、上演や物事全体、集団の意味をユーモアをもって問い直そうとする、新しい日常におけるミュージカル的ダンスパフォーマンス作品です。
白神ももこ氏は、「今回は、このコロナ禍の中、劇場で観察型のパフォーマンスという試みをしていきたいなと考えています。劇場で、もしくは遠くの誰かと、一人一人が繋がれる作品になればいいなと思っています」と語ります。
■『ムーンライト』
10月下旬(予定)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト
ドキュメンタリー制作から出発し、身体に障害のある方の在宅介護・介助における、介護する、されるの関係を演劇化した(F/T11公募プログラム)『ツァイトゲーバー』が国内外で高く評価された村川拓也が8年ぶりにF/Tに参加。
村川との対話とピアノの発表会の形式をとった本作の主人公は、ベートーベンの「月光」に魅了されピアノを始めたという京都に暮らす70代の男性です。
実在の人物とその語りを劇場での再現や演技と交錯させる手法は、現実の中に確かに存在するにもかかわらず、見過ごし、聞き逃しがちな、“大切な何か”との出会いへと誘(いざな)います。
村川氏は、「今回の作品は、元々初演を京都で行いました。今回は、再演で舞台を東京に移して展開します。出演者は、初演で演じていただいた、主人公となる75歳の男性と、池袋の地域のピアノの演奏をする方で構成される東京バージョンです。
このコロナ禍ですが、舞台は劇場でしか見られない発見があるものなので、スタッフの体調や座席数を空けたりなどのアイデアを出しながら、対策を図りながら行っていきます。
ぜひ、劇場に見に来てほしいなと思っています」と語ります。
フェスティバル/トーキョー20 新型コロナウイルス対策 3つの取り組み
①来場者様への感染症予防
鑑賞や参加にあたり、マスクの着用、手指の消毒、お客様同士の距離の確保、発熱のある方や体調のすぐれない方への来場を控えていただきます。
劇場での公演は、各劇場のガイドラインにのっとり検査を行わせていただきます。
②会場での感染予防
劇場での感染予防措置は、適切な感染予防措置を行います。
・前後左右の席の間隔をあける席配置、距離を置くことができることと同等の席配置
・屋内会場では喚起の徹底、施設内のドアノブや手すりなど、不特定多数の方が触る消毒を常時行う
・屋外会場では、広さに応じた人数制限を行い、人の密集を避け、お客様が触れる機材などの消毒を常時行う
③スタッフ・出演者の感染予防
・スタッフや出演者は、マスクやフェイスシールド、手袋の着用、適切な防護対策を取ります。
・上演中の出演者は、来場者様への感染を防ぐためにプログラムごとに適した対策を取ったうえで上映を行います。
・作品創作期間中についても、新型コロナウイルス対策ガイドラインを作成し、対策を講じたうえで捜索を行います
まとめ
フェスティバル/トーキョー20全プログラムオンライン演目発表会について、お伝えしてきました。
今回で13回目の開催となるF/T。
F/T ディレクター の長島 確氏は最後に、「このコロナ禍の日々変化する状況の中、これから先も状況に応じて、様々な変更が起こるかもしれませんが、同時に面白い発見もあるかもしれないので、それまで楽しみに待っていてください」
とのコメントで、会を締めくくりました。
どんな面白い発見が見られるのでしょうか?
このコロナ禍という特別な状況の中、人々に勇気を与え、人々が深くつながっていく力強い想像力が羽ばたいてくれることを切に望みます。
開催概要
名 称 | フェスティバル/トーキョー20 |
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会 期 | 令和2年(2020年)10月16日(金)~ 11月15日(日) |
会 場 | 東京芸術劇場/あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)/トランパル大塚/豊島区内商店街/オンライン会場 ほか |
プログラム数 | 主催 13プログラム(予定) |
チケット |
一般発売 2020年9月上旬(予定) |
主催 | フェスティバル/トーキョー実行委員会豊島区/公益財団法人としま未来文化財団/NPO法人アートネットワーク・ジャパン、東京芸術祭実行委員会〔豊島区、公益財団法人としま未来文化財団、フェスティバル/トーキョー実行委員会、公益財団法人東京都歴史文化財団(東京芸術劇場・アーツカウンシル東京)〕 |
後援 | 外務省、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会、J-WAVE 81.3 FM |
特別協力 | 西武池袋本店、東武百貨店池袋店、東武鉄道株式会社、サンシャインシティ、ジュンク堂書店 池袋本店、理想科学工業株式会社 |
協力 | 東京商工会議所豊島支部、豊島区商店街連合会、豊島区町会連合会、一般社団法人豊島区観光協会、一般社団法人豊島産業協会、公益社団法人豊島法人会、池袋西口商店街連合会、特定非営利活動法人ゼファー池袋まちづくり、ホテルメトロポリタン、ホテルグランドシティ、池袋ホテル会、サンシャインシティプリンスホテル、リソルホテル株式会社 |
宣伝協力 | 株式会社ポスターハリス・カンパニー |
特設 WEBサイト |
http://www.festival-tokyo.jp/ |
※協力は申請中含む