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映画『プロメア』(2019)の公開5周年を記念した展覧会「THE MAKING OF PROMARE展」が、池袋PARCO 7F・PARCO FACTORYにて開幕しました。会期は2025年2月21日(金)~3月10日(月)まで。
先立って開催された報道内覧会に参加してきましたので、会場の様子をレポートします。
※記事には会場の様子を写した画像が含まれますので、ネタバレを気にされる方はご注意ください。
映画『プロメア』は、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現をきっかけに、未曾有の大惨事〈世界大炎上〉が起こってから30年後の世界を舞台に、対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の新人隊員・ガロと、指名手配中の炎上テロリストである〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオが、熱い魂をぶつけ合いながら地球存亡の危機に立ち向かうというオリジナルのアニメーション作品です。
人気TVシリーズ『天元突破グレンラガン』(2007)、『キルラキル』(2013)を世に送り出した監督:今石洋之×脚本家:中島かずきのタッグによる、初の完全オリジナル劇場アニメーションであり、アニメーションスタジオ・TRIGGERとXFLAGの共同製作。キャストに松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人、ケンドーコバヤシ、古田新太といった豪華俳優陣を迎えたことでも話題を呼び、異例のロングラン上映により動員数は100万人を突破しました。
本展は、そんな映画『プロメア』の制作過程にスポットを当て、企画書、ラフスケッチ、イメージボード、絵コンテ、原画、3DCG映像など、手描きと3DCGが融合された本作品ならではの貴重な資料を多数展示するもの。
「1. Pre-production」「2.Characters」「3.Mechanics」「4.Background」「5.Visuals」「6.Color」「7.Directoer’s Revision」と、テーマごとに章立てした構成となっています。
本展の担当者に見どころをうかがうと、冒頭の「1.Pre-production」は特に注目してほしいとのこと。「1.Pre-production」では初期構想のアイデアスケッチや企画書用のイラストなど、映画の概要が固まるまでの資料を紹介していますが、資料には初公開のものが多く含まれているといいます。
初期構想から「ロボットと有機生命体との戦い」が重要な要素であることは決まっていたようですが、主人公が警察組織のエリートとたたき上げの友人コンビであったり、ガロとリオに似た風貌の学生服らしきものを着た子供たちであったりと紆余曲折あったことがうかがえるなど、非常にワクワクとする興味深い内容でした。
初公開の資料は「1.Pre-production」以外にも用意しているそうなので、筆者のように映画だけを楽しんだライト勢はもちろん、これまで公式から出た制作資料の書籍を買ったり、2021年の「今石洋之の世界」展などに足を運んだりしてきた熱心なファンの方も、新しい発見があるだろう内容になっています。
「2.Characters」の展示でも、おなじみのキャラクターたちがどのような変遷を経て劇中のデザインに落ち着いたのかがわかる資料が含まれており、見ごたえ抜群です。目つきの悪いチンピラのようなガロ、バイクではなく恐竜のようなビジュアルの乗り物にまたがるマッドバーニッシュのデザイン画などは、「この設定だったらどんなストーリーになっていただろうか?」とIFの想像もふくらみました。映画『プロメア』では「〇」「△」「□」の3つの図形が、作品全体を通底するビジュアルコンセプトに選ばれており、そういった視点であらためてキャラクターデザインを振り返ってみるのも面白そうです。
物語終盤で登場する主人公機「リオデガロン」の特別感・ヒーロー性を演出するため、レスキューモービルやレスキューアーマーといった他のメカを現実にある重機やバイクの延長線上でデザイン。背景美術は色面を強調し、コントラストを効かせることで、他のアニメーションでも類を見ない印象深い仕上がりに。視聴者を引き付けるさまざまな工夫が紹介されており、あらためて映画『プロメア』という作品の唯一無二の魅力を実感できます。
セルと背景を合成し、エフェクト等の撮影処理を加えて、最終的な画面としてフィックスするというのが通常のアニメーション制作ですが、映画『プロメア』ではさらに工程を追加し、「色」によってフィルム全体の流れや演出意図を表現しようと試みたそう。「6.Color」の展示では、撮影以降の仕上げを任されたキャラクターデザイナーのコヤマシゲト氏が、撮影処理の指示を出す前と後の比較映像を紹介。「色」を重要なエレメントとして位置づけた本作らしいこだわりの一端が感じられます。
展示の最後では、この展覧会でしか見ることのできない特別編集されたスペシャルムービーが放映されています!
内容は、アクションを中心に印象的なシーンをつなぎ合わせた本編映像に、コンテ撮や原画撮の映像、ストーリーボードなどを混ぜ込んだもの。映画『プロメア』の物語の裏で制作陣が注ぎ込んだこだわり、情熱もギュッと濃縮され、一つのエンタメ作品として仕上がっています。BGMには本作のメインテーマ「Inferno」が流れ、約4分半の映像を見終わる頃には感動と満足感でいっぱいになるはず。
グッズ売り場では、5周年記念イラストを使用したアクリルスタンドやTシャツのほか、原画イラストがデザインされたカードや、設定画缶バッチなどを販売。特に「フォーサイト財団勲章」(税込3,500円)や「ピザプレート」(税込3,800円)といった、物語に登場したアイテムをイメージした商品は嬉しい方も多いのではないでしょうか。
なお、池袋PARCO 8階のエレベーター前では、『プロメア』のポスタービジュアルや、5周年記念イラストを使ってプリクラのような写真が撮れる、記念撮影フォトブース写Goo!®が登場しています。会場を訪れた際には忘れずチェックしてください。
【設置場所】
池袋PARCO 8階エレベーター前
【利用可能時間】
11:00~21:00 ※最終日は18:00まで
【料金】
1回700円(税込)/全4種
※1回の撮影で1種類のみ選択。
※展覧会入場有無に関わらず利用可能。
※池袋会場のみでの設置予定。
ファン必見の展覧会「THE MAKING OF PROMARE展」。会場を巡った後は、一刻も早く、再び映画を鑑賞したくなりました。少しでも興味のある方は、一度足を運んでみることをおすすめします。
©TRIGGER・中島かずき/XFLAG
■「THE MAKING OF PROMARE展(池袋)」概要
イベント期間 | 2025年2月21日(金)~3月10日(月) 11:00~21:00 ※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場 |
会場 | PARCO FACTORY(東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋PARCO 本館7F) |
入場料 | 1,500円(税込)/入場特典付き ※小学生以下無料(ただし保護者の同伴必須) そのほか、入場料の詳細は展覧会公式ページにてご確認ください。 前売券販売ページ: https://w.pia.jp/t/making-of-promare/ ※入場枠に空きがある場合のみ、入場前日23:59まで購入可能。 ※入場枠に空きがある場合のみ、会場にて当日券が販売されます。 ※各日販売情報に関しては、PARCO FACTORY公式X(@parco_factory)をご確認ください。 |
主催 | PARCO |
展覧会公式ページ | https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=1658 |
巡回情報 | ・広島PARCO 新館B1F EVENT SPACE / 2025年4月4日(金)~4月28日(月) ・名古屋PARCO 西館6F PARCO GALLERY / 2025年5月17日(土)~6月1日(日) |
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