同時代の舞台作品の魅力を多角的に紹介する、国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー17」。そのプログラムの一つとして、東京芸術劇場では10月7日(土)~10月15日(日)の期間、舞台『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』が上演されています。10月7日に本作品を取材いたしましたので、ご紹介いたします。
演劇の大きな魅力として、物語を紡ぐキャストや舞台装置が観客の目の前に存在している、という点が挙げられます。すぐそこにいる人物が動き、話し、道具を使うことで、私たち観客は不思議な没入感を味わいます。「近さ」から生まれる臨場感、感情移入。しかしながら、本作品『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』は、目の前の舞台以外の場所、つまり観客の目の届かないところでも演劇がおこなわれます。
公式ページでは、本作品は次のように紹介されています。
「同じ時間、二つの場所で紡がれる物語」
驚くことに、本作品は東京芸術劇場内にある二つの隣り合う劇場、「シアターイースト」と「シアターウエスト」の両方を同時に使用し、キャストは二ヶ所を行き来しながら演劇をおこないます。二つの劇場は壁と扉で隔てられているため、隣の舞台で語られる物語について観客はほとんど知ることができず、その内容は想像するほかありません。観客から離れた場所で上演される劇。なぜ、このような特殊な演出がなされているのでしょうか。それは、本作品が「距離」をテーマに作られた物語だからです。
本作品の主人公には、生まれた時から不思議に縁のある友人がいました。しかし、物語が進むにつれて二人の距離はどんどん開いていき、離れた距離に比例して起こる出来事の規模も大きくなっていきます。物理的な距離と心理的な距離。「いま・ここ」と「あのとき・そこ」。当事者と部外者。それらの関係性が笑いや涙、そして二劇場を用いた仕掛けによって鮮やかに、大胆に、奇想天外に描かれます。
作者・柴 幸雄さんは、東日本大震災の発生時に被災地から離れた場所にいた自身の経験をもとに本作品を製作したと語っています。インターネットにより世界中の出来事をリアルタイムで認知できる昨今、本作品を観て、「距離」について思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
また、本作は二つの劇場で同時に上演されるため、友人とそれぞれの劇場で鑑賞し、終了後に感想を語り合うのも面白いかもしれません。販売されるチケットには、二名が二劇場に分かれて鑑賞できるセット券も用意されています。
芸術の秋に、ぜひ「フェスティバル/トーキョー17」で素晴らしいアート体験をお楽しみください。
なお、「フェスティバル/トーキョー17」を含む舞台芸術の祭典「東京芸術祭2017」のラインナップは、以下URLからご覧いただけます。
https://home.ikebukuro.kokosil.net/ja/archives/21162
【わたしが悲しくないのはあなたが遠いから 概要】
会場 | 東京芸術劇場 シアターイースト/シアターウエスト |
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日程 | 10/7 (土) 19:30 10/8 (日) 19:30 10/9 (月) 14:00 / 18:00 10/10 (火) 休演日 10/11 (水) 19:30● 10/12 (木) 19:30● 10/13 (金) 19:30● 10/14 (土) 14:00★ / 18:00 10/15 (日) 14:00 休演日10/10 (火) ★=終演後、ワールドカフェあり。 受付開始は開演の1時間前、開場は30分前 |
上演時間 | 75分(予定) |
言語 | 日本語上演/英語字幕 |
一般前売 | 自由席 (整理番号つき) 4,000円 / 当日 4,500円 / 学生 2,600円 ほかセット券あり |
ホームページ | フェスティバル/トーキョー http://www.festival-tokyo.jp/17/program/shiba_wtkn/ 特設サイト |