本日、区民ひろば千早(豊島区要町3-7-10)にて、紙芝居「夢を育む トキワ荘のヒーローたち」のお披露目会が行われた。かつて豊島区南長崎に存在し、手塚治虫ら日本を代表するマンガ家たちが青春時代を過ごした伝説のアパート・「トキワ荘」の記憶を語り継ごうと、3年半がかりで制作された力作だ。
この紙芝居は、手塚治虫や石ノ森章太郎、赤塚不二夫らトキワ荘に暮らした10名のマンガ家たちが、貧しくとも助け合いながら切磋琢磨し、成長する姿を描いたもの。かつてこの地にトキワ荘があったことや、夢や仲間を持つことの素晴らしさを地域の子どもたちに伝えようと、平成26年から制作が続けられてきた。各プロダクションなどに許可を得て、手塚治虫の「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」、寺田ヒロオの「背番号ゼロ」、水野英子の「銀の花びら」などの作品も盛り込んだ。
紙芝居を制作したのは、豊島区の地域の歴史や文化を語り継ぐ活動をしているNPO法人「はばたけ千早」の語り部部会だ。平成22年に結成され、区民ひろば千早を拠点として、千川上水や区内の電車、民話など、地域のテーマで紙芝居を制作。これまで区内の保育園、小学校、社会福祉施設を中心に、120回以上の公演を行ってきた。紙芝居「夢を育む トキワ荘のヒーローたち」は、同部会の7作目の作品となる。
本日は、千早小学校の子どもたちや、多くの地域の方を迎え、紙芝居の初公演が行われた。紙芝居は計18枚。手作りの木枠を利用し、昔懐かしい拍子木(ひょうしぎ)をカンカンと打ち鳴らす音とともに始まった。2名の語り部がテンポよく物語を語り、公演が終わると会場は温かな拍手に包まれた。
その後、千早高校吹奏楽部によって、「鉄腕アトム」や「ひみつのアッコちゃん」のテーマソングなどの演奏も行われた。会場を訪れた人々は手拍子をしながら、トキワ荘ゆかりの曲を楽しんだ。
お披露目会には、トキワ荘のマンガ家・水野英子さんも出席。水野さんは、「よく完成まで作り上げて頂き感動しています。私がお話ししたことも熱心に吸収していただいて、情熱がすごかった。紙芝居がトキワ荘を紹介してもらう良いきっかけになるといいと思います」と挨拶した。
紙芝居を見た千早小学校の6年生達は、「紙芝居がはじまるときに椎名町駅の乗車音が流れたのが面白かった」「手描きの絵がうまくて、ナレーターのおじいさんが描いていると知ってびっくり」と口々に感想を話した。
今後は区内の小学校や保育園などで公演を行っていく予定だ。
<注釈>正しくは、手塚治虫の「塚」は旧字体、石ノ森章太郎の「ノ」は小文字。