2018年8月10日(金)から9月2日(日)まで、『FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展』が東京・サンシャインシティで開催されます。8月9日にプレス向け内覧会が開催されましたので、今回はその様子をお伝えいたします。
クリスタルから始まる4人の物語-。
北欧神話を彷彿とさせる世界観、魅力的なキャラクターやモンスターたち。人間の光と影を描き出したドラマティックなシナリオ。
世界中の少年少女たちの胸を熱くした人気のロールプレイングゲーム、『FINAL FANTASY』シリーズ。そのイメージイラストを描いてきたのが、装幀画、舞台美術など多彩に活躍するアーティスト、天野喜孝です。
本展覧会は、タツノコプロ時代の『科学忍者隊ガッチャマン』『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』から『FINAL FANTASY』の原画、90年代後半から制作を続けるファインアートの大型作品まで約200点を出展。その繊細かつ唯一無二の世界観でファンを魅了し続ける天野喜孝のファンタジーと最先端テクノロジーが融合した、過去最大規模の展覧会です。
|原画総数132点!過去最大規模の『FINAL FANTASY』展示に圧倒される
第1部「FINAL FANTASY」の会場は“LOGO” “CHARACTER” “MONSTER” “BATTLE”など各エリアに分けられ、それぞれのチャプターには貴重な原画やファン垂涎のアイテムが惜しげもなく展示されています。
現在はなんと“ⅩⅤ“まで展開されている同シリーズですが、ひとつとして同じ物語、同じ世界観はありません。
また、1987年に第1作が発売された『FINAL FANTASY』シリーズは今では親子でプレイしている人もおり、幅広い世代にわたって支持されています。
「やっぱりⅢが一番ハマったよな」「Ⅶが出た時は寝ないでプレイした」
ファンにはそれぞれお気に入りの作品があり、原画の前に立った時の感動も人それぞれに違いありません。まさに、その人だけの『FINAL FANTASY』があるのです。
|『FINAL FANTASY』を彩る天野喜孝の幻想世界
歴代『FINAL FANTASY』のイメージビジュアルを描き、その世界観を下支えしてきた天野喜孝氏。本展では、その貴重な生原画を間近で堪能することができます。
繊細な描線と淡く美麗な色彩で表現されたキャラクターやモンスターたち。北欧神話やギリシャ神話にインスパイアされたというそのイメージの数々は、私たちを遠い空想の世界へと誘います。
展示された原画の総数はFF関連だけでも132点。2017年〜2017年にも開催された天野喜孝展ですが、今回はそれを上回る、過去最大規模の展覧会となります。
「みなさんが頭の中でゲームの世界を想像する時は、三次元だと思うんです。デザインにあたっては、そのイメージを邪魔しないように心がけました」
報道内覧会では、天野氏本人が作品の前で展示解説をしてくださいました。
「これを特に見て欲しい、といった作品は?」と司会者に問われ、
「これを見て欲しいというよりも、実際にプレイされた方は、その時の『思い』があると思うんですよね。ぜひ、その時の気持ちで見て欲しい。10歳でプレイしていたとしたら、今は40歳くらいですよね(2017年でFFは30周年を迎えた)。そうした人たちの個人史から、自然に思い出されてくるものがあると思うんです」
と答えられていた天野氏。本当に作品のファンを大切にされている方なんだなぁとあらためて感じました。
|フィギュア、衣装・・・充実の立体展示
技術の進歩とともにポリゴンによる立体表現へと進化していった『FINAL FANTASY』。本展でも、二次元のキャラクター原画と三次元のフィギュアを並べて展示したり、キャラクターの衣装がディスプレイされていたりと、立体の展示も豊富で充実しています。特に、展示会場入り口付近に展示されている「ジャッジ・ガブラス」の鎧は圧巻の出来栄え。
また、現在はダウンロード配信が主流となっているゲーム業界ですが、やはり往時のファンとしては、ソフトのパッケージを見た時の感慨はひとしお。ショップで初めて手に取った時の気持ちがよみがえってきます。
第1部から第2部へと向かう通路は、「ファンタジーコリドー」と名付けられたインスタレーション空間になっています。狭い通路の中でプロジェクターによって光やキャラクターが映し出され、景色はまるで万華鏡の中に迷い込んだかのよう。
不思議な浮遊感に包まれながら、会場は第2部「ORIGINAL FANTASY」へ。
|天野喜孝のファインアートの世界
通路を抜けると、そこにはポップな色使いが特徴的な作品が並ぶファインアートの空間へ。続く第2部では、海外の個展や展覧会に出品された天野氏オリジナルの作品が数多く展示されています。
天野氏の作品の中でも、特にアルミニウム板に自動車用の塗装が施されたオートモーティブペイントと呼ばれる作品群は圧倒的な人気を誇ります。その巨大なサイズにも圧倒されますが、間近で作品を見ると背景がラメでキラキラと輝いており、表面の硬質の輝きと相まって、どこか近未来的な印象を感じさせます。
「現代では、自動車産業が非常に大きな基幹産業となっていますよね。そこにはさまざまな才能や技術、お金が集まってくるわけです。そうした世界にアートを入れることで、現代性を表現したいと思ったのです」
こちらの『Alice』はバイクのガソリンタンクと同じように仕上げられた作品。『Alice』という名の通り、こちらが小人になったように思えるほどの巨大なアルミパネルに描かれており、その発想の奔放さに驚かされます。清純な『Alice』のイメージとは真逆の、小悪魔的な表情も魅力的。
|天野喜孝の描き出す、終わらない「FANTASY」
展覧会のラストを飾るのは、横5.2メートルの超大作『BIG BANG』。『FINAL FANTASY ⅩⅤ』の発表会のために制作された作品で、あらかじめ制作されたオリジナルの作品を拡大し、新たに描き直されたものということです。
その大きさによるシンプルな迫力はもちろん、非常に緻密に描きこまれた数々のキャラクターたちが渾然一体と融合している様子は、教会の天井画のような趣を漂わせています。
「古い宗教画のように、未来の人たちが『こんな世界もあったのかもしれない』と感じてくれたら面白いなと思います」
ちなみに『FINAL FANTASY』というタイトルの背景には、経営状況が厳しく、「これが最後のプロジェクトかもしれない」という開発者たちの思いがあったそうです。
しかし最後を迎えるどころか、『FINAL FANTASY 』の世界は終わることなく、現在も世界中で絶大な人気を博し、新たな作品が次々と生み出されています。
そして、稀代のイラストレーター・天野喜孝の生み出す「ファンタジー」も終わることはありません。
繊細で、大胆。西洋画のようで、どこか東洋的な画風。神話のようで、未来のような独特の世界観。
そんな不思議な魅力に満ちた『FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展』、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
|開催概要
展覧会名 | 『FINAL FANTASYと天野喜孝の世界展』 |
会 期 | 2018年8月10日(金)~9月2日(日) |
開館時間 | 11:00~18:00(入場は閉館の30分前まで) |
会場 | 池袋・サンシャインシティ文化会館ビル3F展示ホールC(東京都豊島区東池袋3-1-4) |
観覧料 | 一般2000円、中学生以下1000円(すべて税込、3歳未満無料) |
公式サイト | http://amano-exhibition.jp/ |