【体験レポ】500円で推しと同じ舞台に立てる!?東京芸術劇場「劇場ツアー」に参加してみた

舞台の中央に立って記念撮影

 

東京・池袋にある東京芸術劇場では毎月、ツアーガイドが劇場建築の特徴や設備、美術品、パブリック・スペースの楽しみ方などを紹介するツアーイベント「劇場ツアー」が開催されています。

今回は東京芸術劇場に4つあるホールのうち、プレイハウス(中ホール)をめぐる「劇場ツアー」に参加してきました。一般人でもワンコイン(500円)で推しの役者と同じ舞台に立てるかも! な本イベントの模様をレポートします。

 

少人数でたっぷり60分!「劇場ツアー」はこんなイベント

東京芸術劇場

東京芸術劇場

 

1990年、建築家・芦原義信氏の設計で東京都が建設した複合芸術文化施設、東京芸術劇場。2012年に大幅な改修工事の末、リニューアルオープンしました。

世界最大級の回転式パイプオルガンがあることで有名なコンサートホール(大ホール)、演劇やダンスの公演を行うプレイハウス(中ホール)、2つの小ホールを備えた創造発信型劇場として、年間を通じて最先端の舞台芸術を発信しています。

同劇場ではホールでの上演以外にも、アトリエやギャラリーでの展示やワークショップなどの芸術活動が行われていて、今回参加した「劇場ツアー」もそのひとつ。2019年から始まり、毎月3~5回のペースで開催中です。

 

劇場ツアー

劇場ツアー

 

「劇場ツアー」は専門知識をもったガイドが劇場内の見所を案内するツアーイベント。2022年に32周年を迎える東京芸術劇場の歴史に始まり、高い専門性を備えた4つのホールやギャラリーの建築的特徴、舞台機構、館内にあるさまざまな美術品など、意外と知られていない劇場の魅力を劇場スタッフだけが知っているエピソードを交えながら紹介するものです。

ツアーの内容は1つではありません。過去の開催履歴を追ってみると、コンサートホールやプレイハウスなど1つのホールをいろいろな角度から見ていくツアーや、一般公開されていない屋上や美術品を中心に巡るツアーなどさまざま。そのときの施設の使用状況によってルートや解説の内容が変わってくるため、リピーターも多いのだとか。

 

曜日や時間帯を問わず開催されていて、基本的には

・ツアー1回につき60分500円(たまに90分1,000円の特別ツアーもあります)
・募集人数は各回15~20名ほど

となっているようです。少人数制かつ募集開始のタイミングが不規則なため、気づいたときには定員いっぱいになっていることも多い、参加難易度のやや高めなイベントといえるかもしれません。

 

舞台といえば完全に見る専門な筆者、東京芸術劇場のような大劇場の舞台に上がる機会は一生なさそうですが、舞台に上がるとどんな気分になるのかは興味がありました。そんな折に「劇場ツアー」の存在を知り調べてみると、なんと舞台に上がれるツアールートがあるという情報を発見! 運よくプレイハウスのツアーに空きがあったので、思い切って参加してみることにしました。
いつでもこのツアールートになるわけではありませんが、参考までにご覧ください。

 

「劇場ツアー」プレイハウス編スタート!立ち入り禁止スペースにも入れる特別感がうれしい

ツアーガイドの皆さん

ツアーガイドの皆さん

 



参加したのは2021年12月27日(月)16時開始の回です。当日は1階のボックスオフィス(受付)横にツアー専用の受付が設置されていました。

20名の参加者に対して、この日はガイドさんが3名もついてくださいました。参加者一人ひとりに目を配っていて、困ったことがあればすぐに声をかけられたのでありがたかったです。

 

無線端末

無線端末

 

ツアー中はガイドさんの声を無線で聞ける端末を装着。離れた場所でもしっかり解説が聞こえるので便利でした。

 

東京芸術劇場の特徴である広いアトリウム。右下に見えるのがボックスオフィス。

東京芸術劇場の特徴である広いアトリウム。右下に見えるのがボックスオフィス。

 

プレイハウスに足を運ぶ前にまず向かった先は、ボックスオフィスの上の休憩スペース。普段は振動がボックスオフィス内に響くことを避けるために立ち入り禁止となっているエリアですが、ツアー参加者のために特別に開放しているのだとか。

このツアー、こうして「参加した者だけが味わえる特別感」を何度も演出してくれるので、とっても気分がいいんです。リピーターが多いのも納得!

 

普段は封鎖されているボックスオフィス上の休憩スペース

普段は封鎖されているボックスオフィス上の休憩スペース

 

ここで東京芸術劇場の歴史や建築についての解説を聞くことに。解説といっても小難しい話はひとつもなく、誰かに披露したくなる豆知識的な情報をたくさん教えてもらえます。

たとえば、地上11階、地下4階からなるこの大劇場は、北側に広く開放的なアトリウム(吹き抜け空間)があり、南側に4つのホールが積み重なっていますが、この対照的な構造は世界的に見ても非常に珍しいとか。

 

地下1階に2つの小ホール、2階にプレイハウス、5階にコンサートホールのエントランスが見える縦並び構造。

地下1階に2つの小ホール、2階にプレイハウス、5階にコンサートホールのエントランスが見える縦並び構造。

 

なぜ北側にスペースがあるのに南側にホールを密集させたのか? なぜ一番大きなコンサートホールが上層階にあるのか?

その理由は、北側の地下に東京メトロ有楽町線が走っているから。騒音や振動を考慮して南側にすべてのホールを集めたうえ、もっとも静寂を必要とするコンサートホールを上層階に建設したそうです。

ただ建物に特徴をもたせたくて巨大なアトリウムを作ったのだろうと、この構造を疑問にも思っていなかった筆者は「へー!」と感心。参加前は舞台に上がることしか興味がありませんでしたが、この段階ですでにかなり楽しめています。

 

生き生きとした女性像で知られる彫刻家・佐藤忠良氏の《マーメイド》

生き生きとした女性像で知られる彫刻家・佐藤忠良氏の《マーメイド》

 

建築家・芦原義信氏が提案した「1%フォー・アート」の運動により、総予算の1%をアートに当てているという東京芸術劇場。ツアーでは、ただそこに置くのではなく、劇場と調和するように作られた数々のパブリック・アートの魅力にも触れました。

 

プレイハウスのロビー

プレイハウスのロビー

 

いよいよプレイハウスに近づいていきます。プレイハウスのロビーは、開場する前に制作発表の記者会見をしたり、出演者の方々がウォーミングアップしたりと活用されているそう。

 

ロビーの階段でポーズをとるガイドの皆さん

ロビーの階段でポーズをとるガイドの皆さん

 

金の手すりの階段で、「俳優がこんなふうに雑誌用の写真を撮ることもあります」とガイドさんがポーズをとってくださる場面も。ユーモアたっぷりです。

 

プレイハウスに入場!搬入口や舞台袖にもお邪魔しました

プレイハウス2階客席

プレイハウス2階客席

 

いよいよツアーのメインとなるプレイハウスに入場です。シーンとしたホールが新鮮。当然ですが貸し切りの状態なので、思うままに写真が撮り放題でした。

1階席に631席、2階席に203席、合計で834の座席があるプレイハウス。オーケストラピットを備え、歌劇場を彷彿とさせる馬蹄形のホールは、もともとオペラやバレエなどの音楽系プログラムの上演を想定して作られたものだそう。しかし、2012年のリニューアルの際に芸術監督・野田秀樹氏のアイデアで、「舞台を人で囲む」というコンセプトのもと、現代演劇やミュージカルといった演劇系プログラムの発信に適した形に生まれ変わったとのこと。

 

プレイハウスの1階客席

プレイハウスの1階客席

 

ここでは主に、リニューアルで改良された音響や照明、また「どの位置でも舞台が見やすい」と定評のある客席の工夫について詳しく解説がありました。実際に筆者も、プレイハウスでの鑑賞時にどの座席に座ってもストレスを感じたことがなかったので、この話はとても興味深く聞けました。

 

搬入口

搬入口

 

プレイハウスの下手側からいったん地下へ下り、向かったのは搬入口。トラックが乗り入れする、すべてのホール・ギャラリーの搬入を行う場所です。

プレイハウスは舞台にセリの機構があり、セリを昇降することで搬入口から直接荷物を舞台まで運搬できるとか。便利ですね! 写真の奥に写っているのはプレイハウスの骨組みです。

 

下手袖にある機材

下手袖にある機材

 

再びプレイハウスに戻り、今度は舞台の下手袖へ。配線やら機材やらでごちゃごちゃしているイメージがありましたが、公演がないタイミングだと意外とすっきりした空間でした。

ここでは技術スタッフさんが舞台連絡用の機材について話をしてくださることに。上演中は舞台監督が中心となって、上の写真のような暗視モニターで舞台や客席をチェックして、状況を見ながら音響や照明のスタッフに指示を出しているとのこと。実際に指示用のテスト放送も聞かせてくださって至れり尽くせりです。

搬入口もそうですが、「こんなところまで見せてくれるの!?」という驚きがあるのが「劇場ツアー」のおすすめポイントと言えそうです。

 

お待ちかね!プレイハウスのステージに登壇

プレイハウスの舞台

プレイハウスの舞台

 

プレイハウスの「劇場ツアー」、ここまで大変ソワソワとさせられましたが、ついにお待ちかねの舞台に上がれることに!

 

舞台の中央に立って記念撮影

舞台の中央に立って記念撮影

 

実は、申し込みの段階でホールに入れることは承知していましたが、舞台に上がれるかどうかについては言及されていなかったので思わずガッツポーズ。

筆者含め、ツアー参加者は沈黙のなかに興奮をにじませながら記念撮影タイムへ。一人参加でしたが、ガイドさんが快く写真を撮ってくださいました。

もちろん客席に人は入っていませんが、好きな俳優の公演を見にプレイハウスを訪れた経験のある方なら、「推しはこんな景色を見ていたんだな」と感慨深さもひとしおのはず。なかなか経験できない推し活ではないでしょうか。

 

プレイハウスの舞台(上手袖からの視界)

プレイハウスの舞台(上手袖からの視界)

 

落ち着いて舞台を観察してみると、客席で感じるより実際はかなり奥行きがあることに驚きました。聞いてみると、間口(幅)が約14M、奥行きが約17Mということで奥行きのほうが長いんですって。
客席の奥行きが約25Mというお話だったので、つまりホール全体の奥行きの2/5が舞台ということ……。そんなに大きかったとは! ツアーに参加しなければ絶対に気づけなかったことでしょう。

 

舞台の天井部分。高すぎて天井の果てが写りきりません。

舞台の天井部分。高すぎて天井の果てが収まりきりません。

 

客席からは見えない舞台の天井部分も、想像よりよっぽど高さがあり呆然としました。舞台照明の機材を吊るための4本の太いライトブリッジという機構が写真に写っていますが、これは電動で昇降するそう。細かい照明機材の調整は、なんとライトブリッジに乗り込んで上空で調整をするというのですから、想像するだけで身がすくむと同時に、技術スタッフさんたちの努力に頭が下がります。

 

床でカーブしている部分が「盆」

床でカーブしている部分が「盆」

 

ほかにも、普段は上手袖に隠れていて、使用するときに舞台上にスライドする「盆」(回転舞台)と呼ばれる機構など、利用者のいろいろな要求に答えられるような多彩な舞台装置について、実際の使用エピソードを面白おかしく交えながら説明してくださいました。

 

以上でツアーは終了。舞台目当てで参加した筆者ですが、想像の何倍も好奇心が刺激されて大満足でした。

ホールの仕組みや工夫を知り、舞台に関わる方々の尽力や思いを知ることで、今後の鑑賞の楽しみも広がる気がします。東京芸術劇場の公演と聞いたら、ほかの劇場よりもちょっとだけ贔屓したくなる。そんな思いを抱かせる魅力的なツアーだと感じました。これでワンコインとはありがたすぎます!

参加募集に決まったタイミングはありませんが、ガイドさんに伺ったところ、東京芸術劇場の公式サイトをこまめに確認してもらうのが一番早いということでした。ほかにも、TwitterやFacebookで情報を発信しているそうなので、興味のある方はぜひフォローしてみてはいかがでしょう。

 

注意※今回ご紹介したツアールートはあくまで一例です。ツアールートは各施設の使用状況により決定するため、回によっては舞台に上がれない、ホールに入れない場合もあることをご了承ください。

 

■東京芸術劇場「劇場ツアー」概要

会場 東京芸術劇場各所
日程 毎月不定期に開催
所要時間 約60分 ※一部ツアーで約90分の場合あり
参加費 税込500円 ※一部ツアーで税込1,000円の場合あり
定員 各回15~20名ほど ※先着順 ※定員に満たない場合のみ当日券あり
申し込み方法 東京芸術劇場サイトより事前申し込み ※料金当日清算
公式ページ https://www.geigeki.jp/performance/guided-tour2021/
Twitter https://twitter.com/geigeki_info
Facebook https://ja-jp.facebook.com/geigeki/

※本記事の内容は掲載日(2022/1/12)時点のものです。

 

 

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