『ドラゴンクエスト』から映画音楽、クラシックの名曲まで!
【東京芸術劇場】「サラダ音楽祭」鑑賞レポート

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誰もが音楽の楽しさを体感・表現できる音楽祭として2018年に誕生した「サラダ音楽祭」。
4回目の開催となる2021年、8月12(木)~13(金)に東京芸術劇場にてメインコンサートやワークショップなど、多彩なプログラムが開催された。
毎年サラダ音楽祭の情報を掲載してきたココシル編集部だが、今年はメインプログラムの一部を鑑賞し、その模様をレポートする。

 

 

 赤ちゃんから入場OK?!「OK!オーケストラ」

 

東京都交響楽団を指揮する大野和士氏

東京都交響楽団を指揮する大野和士氏

 

都響の奏でる美しい管弦の音色が響きわたる

都響の奏でる美しい管弦の音色が響きわたる

 

司会を務める小林顕作氏

司会を務める小林顕作氏

 

今回、編集部が参加したプログラムはふたつ。そのうちのひとつが12日(木)に開催された「OK!オーケストラ」だ。これは「赤ちゃんOK!」というタイトル通り、0歳から鑑賞が可能ということで毎年大好評を博しているプログラムだ。



サラダ音楽祭は東京都交響楽団が豊島区、東京芸術劇場と連携して開催するプログラムであり、本プログラムにおいても都響の音楽監督を務める大野和士氏の指揮のもと、都響の奏でる美しい管弦楽の音色を存分に堪能できる。

司会を務めるのは俳優・演出家の小林顕作氏。『真田丸』の明石全登役が記憶に新しいが、俳優業の他にもコンドルズのコント脚本や映画監督など、マルチにその才能を開花させている。クラシック音楽というとどうしても敷居の高さを感じてしまう人も多いと思うが、小林氏の軽妙なトークや掛け合いはまっすぐファミリー層の心を捉えていたように思う。時折コンサートホールの広大な空間に和やかな笑いの波が広がっていくのが印象的だった。

 

指揮体験コーナーでは、なんと6歳の女の子が楽団を指揮

指揮体験コーナーでは、なんと6歳と10歳の女の子が都響を指揮

 

「また指揮してみたい?」と聞かれ首を横に振る女の子。思わず崩れ落ちる小林氏

「また指揮してみたい?」と聞かれ首を横に振る女の子。思わず崩れ落ちる小林氏

 

近藤良平氏率いるコンドルズが登場し、会場のボルテージは最高潮に

近藤良平氏率いるコンドルズが登場し、会場のボルテージは最高潮に

 

「OK!オーケストラ」はクラシック音楽の枠に収まらない、ジャンルを超えたコラボレーションも魅力のひとつ。

大ヒットゲーム『ドラゴンクエスト』のテーマ曲から始まったプログラムは途中で近藤良平氏率いるコンドルズを迎え、オッフェンバックの喜歌劇『天国と地獄』序曲において最高潮の盛り上がりを見せる。ファンタスティック・メドレーと題された一連の楽曲ではおなじみミッキーマウスのマーチも登場。赤ちゃんが座席から乗り出して手拍子に参加している様子が印象的だった。

また、「指揮体験コーナー」ではビゼーの歌劇『カルメン』前奏曲を題材に、6歳と10歳の女の子が指揮に挑戦。演奏後は「緊張した」と語っていたものの、その堂々とした指揮ぶりに観客席からは感嘆の声が漏れていた。

 

観客席の様子

観客席の様子

 

中には手拍子に参加する赤ちゃんも

中には手拍子に参加する赤ちゃんも

 

観客席の反応は多種多様だ。赤ちゃんや小さい子どもたちは普通のクラシック演奏会のように、じっと黙って座っていてくれるわけではない。じっと集中している子、立ち上がって客席の間を歩き出す子、自然にリズムを取り始める子・・・。実は後方から座席を眺めているのが一番面白い体験だったかもしれない。

意外に大声で泣きだすような子どもはおらず、みんな反応は違えど目の前の演奏から「何か」を感じて受け取り、思い思いに表現しているのが印象的だった。きっとこれも「OK!オーケストラ」の醍醐味のひとつなのだろう。

 

 

オーケストラ×歌×ダンスで魅せる!メインコンサート

 

10人のダンサーたちとともに表現された、ジョン・アダムズの「ザ・チェアマン・ダンス」

ダンス付きで演奏されたジョン・アダムズの「ザ・チェアマン・ダンス」。振付はNoism芸術監督の金森穣氏

 

二曲目は吉野直子をソリストとして、カステルヌオーヴォ=テデスコ「ハープと室内管弦楽のための小協奏曲 op.93」

二曲目は吉野直子氏をソリストとして、カステルヌオーヴォ=テデスコ「ハープと室内管弦楽のための小協奏曲 op.93」を演奏

 

プーランク「グローリア」はソプラノの小林厚子が暖かな情感の乗った声で歌い上げる

プーランク「グローリア」ではソプラノの小林厚子氏が暖かな情感の乗った声で歌い上げる

 

極限まで追求された身体表現で観客する、Noizmの井関佐和子氏

極限まで追求された身体表現で観客を魅了する、Noismの井関佐和子氏

 

メインプログラムのフィナーレを飾る「音楽祭メインコンサート」では、昨年、圧倒的なパフォーマンスで観客を魅了した演出振付家の金森穣が率いる日本を代表するダンスカンパニー Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)が再登場。さらにハープ奏者の吉野直子、ソプラノの小林厚子という第一線で活躍する豪華ソリスト陣が参加し、大野和士が率いる都響との共演による特別プログラムが演奏された。

Noismのダンサーたちが参加したジョン・アダムズ「ザ・チェアマン・ダンス」では、1ミリの無駄もないストイックな身体表現が、作品自体に予測不能な躍動感と色彩感を与えていたように思う。中でもNoismの副芸術監督を務める舞踏家・井関佐和子氏の表現力は圧倒的で、マーラー「交響曲第5番 嬰ハ短調より第4楽章 アダージェット」においてテーブルとイスを用いたアクロバティックな振付を披露し、繊細な情感や悲哀を表現してみせた。

ハープ奏者の吉野直子氏はその完璧なテクニックと流麗な奏法でチェロ・ヴィオラと世にも美しい音の重なりを表現し、ソプラノの小林厚子氏は張りのある美声でプーランク「グローリア」を朗々と歌い上げる。まさに贅を尽くした音の祭典だ。

 

プーランク「グローリア」では新国立劇場合唱団も参加し、祈りの歌声がホールに響き渡る

プーランク「グローリア」では新国立劇場合唱団も参加し、荘厳な祈りの歌声がホールに響き渡る

 

カーテンコールで盛大な拍手に応える大野和士氏

カーテンコールで盛大な拍手に応える大野氏と楽員たち

 

プログラムの最後を飾る「グローリア」は1959年に作曲されたフランシス・プーランクの宗教曲。第6楽曲「父の右に座しておられる方よ」では活気ある曲調から荘厳な祈りの歌に変っていき、「アーメン」の合唱の後、ソプラノが「アーメン」と詠唱し、静かに終わる。

それはまるで、今この世界で翻弄される人々に捧げられた祈りのように思えたのは私だけではないだろう。

 

今回編集部が参加したのは12日と13日のメインプログラムのみだが、他にも日本初演となる子どものためのオペラ『ゴールド!』や、都響の指揮を疑似体験できるバーチャルオーケストラ、コンドルズや新国立劇場合唱団による体験型ワークショップなど、多彩なプログラムが展開されていた。

サラダ音楽祭は通年8月~9月に開催されており、来年も同時期の開催が見込まれる。ココシル編集部では引き続きサラダ音楽祭の魅力に迫り、詳細情報をお届けしていきたい。

 

サラダ音楽祭公式サイト
https://salad-music-fes.com/

 

 

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