
見る者を圧倒するアートスタイル、強烈なキャラクター描写、そして一度触れたらクセになる独特の台詞回しなどで世界的に高い人気を誇る漫画家・平野耕太氏。その作品の魅力を体感する展覧会「平野耕太★大博覧會」が、東京・池袋のサンシャインシティで開幕しました。会期は2025年3月27日(木)から4月13日(日)まで。
開幕に先立って行われた報道内覧会に参加してきましたので、会場の様子をレポートします。※作品のネタバレを含みますのでご注意ください。
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英国を舞台に、反キリストの化け物を葬るために組織された特務機関HELLSINGの闘争を描く『HELLSING』(ヤングキングアワーズ/少年画報社にて1997年~2008年連載)。
島津豊久、織田信長、那須与一をはじめ、古今東西の歴史上の英雄たちが異世界に迷い込み、世界廃滅を目論む“黒王”たちと壮絶な戦いを繰り広げる『ドリフターズ』(ヤングキングアワーズ/少年画報社にて2009年~連載中)。
いずれもテレビアニメ化、OVA化もされた平野氏の代表作であり、「平野耕太★大博覧會」では、1500平方メートルを超える会場で両作品の原画200点以上をメインに展示しています。平野耕太作品を扱った展覧会としては過去最大規模になるとのこと。
会場は前半が『HELLSING』、後半が『ドリフターズ』に分けられ、原画は1話から物語の流れに沿う形で展開。読者人気が高いであろうハイライトシーン、インパクトのある見開きなどの原画は、必ずある、とまでは言えませんが、満足のいく規模感で揃っているなと感じました。
合間に、ストーリーやキャラクター紹介、平野氏ならではの印象的なセリフの数々をパネルで配置。要所要所でゆかりのあるアニメ映像が音声付きで流れているため、気分を高めながら作品世界に没入していけました。
昨今の漫画はデジタル作画が主流になっていますが、平野氏の原稿は肉筆。単行本の紙面で見るのとでは異なる、生の描線の艶めかしい美しさを味わえるのはもちろん、細かく入れられたホワイトが画面にどのような効果を与えているかもはっきり見てとれ、作者のこだわりを感じられます。なお、原画にはカラー原稿や、『ドリフターズ』連載前の貴重な告知イラストなども含まれていました。
原画のほかにも、本展ならではの見どころが目白押し。屈指の人気を誇る“少佐”の演説傑作選が聞けるスポットをはじめ、アーカードとアンデルセンの最後の戦い、アンデルセンの結界、異世界を結びつける紫のデスク、島津豊久や土方歳三の衣装、ギャグシーンで登場した菅野直の旗など、再現展示の造形物にも力が入っています。
セラスがハルコンネンⅡを装備して迫りくる敵を睨みつけるシーンや、マクスウェルが狂気の中で宗教裁判の判決を言い渡すシーンなど、“なりきり系”のフォトスポットはチョイスが絶妙。聞けば、企画担当者が漫画の大ファンだということで、「趣味を全開にしました」と冗談交じりに語っていましたが、ファンの喜ぶツボを心得た内容になっている印象です。
『HELLSING』と『ドリフターズ』の展示空間をつなぐのが、両作品に登場する“キャスター作「マモン平原会戦のウスター伯ヴィランデル図」”の再現展示であるのも、ファンならニヤリとできる粋な演出といえるでしょう。
さらに、戦国島津家ゆかりの土地である鹿児島県日置市で2015年に『ドリフターズ』原画展が開催された縁からか、本展でも「島津豊久所用紺糸威腹巻写」(日置市蔵)や「関ケ原合戦図屛風写」(個人蔵)が出品。このように様々な角度からのアプローチで作品の魅力を深掘りしていました。
なお、本展では会場に足を運んだ人のみ聞くことができる音声ガイド(有料)が用意されています。詳細は掲載NGでしたが、“ゆかいな”音声ガイドとしつつ、「本音声ガイドには行き過ぎた表現があります」、「展示のガイドとしては全く役に立ちません」との注意書きがあることから、内容は推して知るべし、というもの。
本展の開催を記念したオリジナルグッズの物販コーナーでは、王道からネタ系まで幅広いアイテムが展開されているため、公式サイトで事前にチェックすることをおすすめします。購入特典として、1会計税込5000円以上購入するとクリアカード全6種から1枚をランダム配布。1会計税込1万円以上購入するとアニメ『ドリフターズ』の原画が当たる抽選に参加できるそうです。
平野耕太作品の魅力にどっぷり浸れる大規模な展覧会「平野耕太★大博覧會」の開催は2025年4月13日(日)まで。どちらの作品の展示も見ごたえ十分でしたが、特に『HELLSING』の展示は1本映画を見たかのような満足感がありました。ファンの方々にぜひ足を運んでみてほしいです。
■「平野耕太★大博覧會」概要
イベント期間 | 2025年3月27日(木)〜4月13日(日)※会期中無休 |
営業時間 | 11:00〜19:00 ※最終入場は閉場の30分前まで |
会場 | 池袋・サンシャインシティ 展示ホールA (東京都豊島区東池袋3丁目1-3 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 4F) |
入場料 | 料金(入場券)の詳細は展覧会公式サイトでご確認ください。 |
展覧会公式サイト | https://s.mxtv.jp/event/HiranoKohtaExpo/ |
※掲載の内容は取材時点のものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は展覧会公式サイト等でご確認ください。
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