かつて豊島区南長崎に存在し、手塚治虫ら日本を代表するマンガ家たちが青春時代を過ごした伝説のアパート・「トキワ荘」を題材とした紙芝居「夢を育む トキワ荘のヒーローたち」が完成した。トキワ荘の記憶を語り継ごうと3年半がかりで制作され、5月24日(水曜日)に区民ひろば千早(豊島区要町3-7-10)にてお披露目される。
この紙芝居は、手塚治虫や石ノ森章太郎、赤塚不二夫らトキワ荘に暮らした10名のマンガ家たちが、貧しくとも助け合いながら切磋琢磨し、成長する姿を描いたものだ。かつてこの地にトキワ荘があったことや、夢や仲間を持つことの素晴らしさを地域の子どもたちに伝えようと、平成26年から制作が続けられてきた。各プロダクションなどに許可を得て、手塚治虫の「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」、寺田ヒロオの「背番号ゼロ」、水野英子の「銀の花びら」などの作品も盛り込んだ。
紙芝居を制作したのは、豊島区の地域の歴史や文化を語り継ぐ活動をしているNPO法人「はばたけ千早」の語り部部会だ。平成22年に結成され、区民ひろば千早を拠点として、千川上水や区内の電車、民話など、地域のテーマで紙芝居を制作。これまで区内の保育園、小学校、社会福祉施設を中心に、120回以上の公演を行ってきた。紙芝居「夢を育む トキワ荘のヒーローたち」は、同部会の7作目の作品となる。
紙芝居は計18枚で、トキワ荘で奮闘するマンガ家たちをポスターカラーで色鮮やかに表現している。ストーリーやコンテは各プロダクションなどの指導・調整のもと、メンバーで試行錯誤を重ねて作り上げた。語り部部会の齋藤康芳部長(81)は、「これまで『次世代につなごう豊島の今昔』をキャッチフレーズに、だいたい1年に1つ紙芝居を作ってきました。この紙芝居で、地域の子どもたちに、一人ではなく仲間と一緒に頑張るトキワ荘のマンガ家達の生き様を伝えたい」と意気込む。同部会の高木継夫理事長(79)は、「現在、日本のマンガ・アニメは世界中で人気だが、その原点でもあるトキワ荘について、地域の中でも知らない方が多い。ぜひみなさんに知っていただきたい」と語っている。
紙芝居「夢を育む トキワ荘のヒーローたち」は5月24日(水曜日)に初披露し、今後は区内の小学校や保育園などで公演を行う計画だ。お披露目会には、トキワ荘のマンガ家・水野英子さんも来場する予定。
<注釈>正しくは、手塚治虫の「塚」は旧字体、石ノ森章太郎の「ノ」は小文字。