「紫雲荘活用プロジェクト」の3期生・立藤ともひろさん(24歳)の作品が、WEB漫画サイト「少年ジャンプ+(プラス)」に掲載され、マンガ家デビューを果たした。
紫雲荘は、トキワ荘だけでは手狭になった赤塚不二夫が住居兼仕事場としてトキワ荘と同時に借りた、今も現存するアパート。区と地域は、平成23年から、この紫雲荘を活用してマンガ家を目指す若者をまちぐるみで応援する「紫雲荘活用プロジェクト」を展開中だ。月額家賃4万円のうち、二分の一の2万円が最長3年間補助される仕組みで、現在、3期生3名が入居し日々創作活動に励んでいる。
立藤さんは福岡県飯塚市出身。幼い頃からマンガが好きで、就職という人生の転機を目の前にして、初めてペンを取った。賞に届かなければ諦めようと思っていたが、その作品が第77回小学館新人コミック大賞にて佳作を受賞。その後、「紫雲荘活用プロジェクト」の2期生で、マンガ家デビューを果たした梶川岳さんのTwitterより同プロジェクトの存在を知り、今年4月に福岡から上京した。
今回掲載されたのは、「くらげちゃんの初恋」という55ページの読み切り作品。触れたものの姿や記憶までも写し取ることができる謎の生物が、人間の少女と出会い、やがて恋をする物語だ。切ないストーリーと柔らかく瑞々しいタッチの絵柄が特徴的で、掲載後、Twitter等に応援や感想の声が寄せられている。
作品について立藤さんは、「このお話は紫雲荘に来てから思いつきました。公開後、わざわざTwitterを見つけて感想を下さった読者もいて、嬉しかったです」とコメント。
「紫雲荘活用プロジェクト」については、3期生の募集を知った際、「これしかない」と直感したという。同じ3期生の2人について、「今回の原稿も、最後の5日間くらい寝食をともにして手伝ってくれました。すごく助けられていて、刺激にもなり、いつも原稿の作業が楽しいです」と語り、ライバルでありながら良き仲間として切磋琢磨している様子だ。
現在は、マンガ家のアシスタントの仕事をしつつ、次回作の構想を練っている。「マンガ家になるというぼんやりした夢が、紫雲荘に来てから現実と地続きになってきた感じ。これからも、人の心の中の感情を映すような作品を描いていきたい」と意気込みを語った。
作品は下記ホームページにて閲覧できる。
少年ジャンプ+ https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028966684