【豊島区広報課発】東京芸術祭2018 ラインアップ紹介 記者会見

左から、根本・杉田・河合・長島・宮城・横山・内藤 多田は欠席(敬称略)

▶ 宮城聰総合ディレクターによる東京芸術祭2018 コンセプト説明

▶ 5つの事業のディレクターによるラインアップ紹介を実施

 

東京芸術祭組織委員会は、2018年9月1日(土)から12月9日(日)の100日間、豊島区池袋エリアを中心に東京芸術祭を開催いたします。東京芸術祭2018の開催に先駆け、6月27日(水)14時より東京芸術劇場にお いて、宮城聰総合ディレクター含むプランニングチームメンバーによるラインアップ紹介 記者会見を執り行いました。

 

東京芸術祭2018によせて − 宮城聰総合ディレクター

 

近年、オリンピックが「スポーツと文化の祭典」である、ということがしきりに言われるようになりました。それは近代オリンピック理念の原点に帰ろう、ということでもあり、またスポーツだけに偏りすぎるとオリンピックが国威発揚の道具にされやすくなり「平和でより良い世界の構築(オリンピック憲章第1章第1条)」にはつながらない、という危機感のためでもあるでしょう。

 

けれど、20世紀前半のオリンピックがそうであったような、国の代表選手としての芸術家が作品の出来を競ってメダルを争う「芸術競技」のありかたでは、スポーツと相補いあうべき芸術の役割が果たせるとは思えません。

 

では、何が芸術の役割なのでしょうか。

 

近代オリンピックにおけるスポーツとは、世界各地から異なるバックグラウンドを持った選手たちが集まり、敢えてモノサシをひとつにして「より速く」「より高く」「より美しく」と競うことです。多様な人々が敢えてひとつのモノサシで競いあうことによって信頼関係が生まれることを狙っています。

 

いっぽう、逆に「こういう『速さ』もあるんじゃないか」「これもまた『高さ』を感じさせるなあ」「こんな『美しさ』もあったのか」とモノサシを増やしてゆくのが芸術です。

 

「OlympicGames」の「ゲーム」には「競技」と「遊戯」の両方の意味があるように、「こんなモノサシもありなんだ!」と多様性を楽しむ仕掛けとしての芸術が、スポーツとともにオリンピックを形成する、ということなら納得できますね。

 

近年のグローバリズムの浸透によって、人間たちはつねひごろにおいても「ひとつのモノサシに適応する」ことを迫られています。それができなければこれからの世界を生きのびられないんだ、という脅迫に晒されています。こんな時代には、「モノサシを増やす楽しみ」「モノサシが増えるオドロキ」を共有する“芸術”という人類の知恵が、いっそう活躍しなければならないだろうと僕は考えています。

 

宮城聰(みやぎ・さとし)

 

1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京芸術祭総合ディレクター。東アジア文化都市2019豊島舞台芸術部門総合ディレクター。東京大学で小田島雄志・渡辺守章・日高八郎各師から演劇論を学び、1990年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、またアウトリーチにも力を注ぎ「世界を見る窓」としての劇場運営をおこなっている。2017年『アンティゴネ』をフランス・アヴィニョン演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。2006〜2017年APAFアジア舞台芸術祭(現アジア舞台芸術人材育成部門)プロデューサー。2004年第3回朝日舞台芸術賞受賞。2005年第2回アサヒビール芸術賞受賞。2018年平成29年度第68回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

 

宮城総合ディレクター

宮城総合ディレクター

左から、根本・杉田・河合・長島・宮城・横山・内藤 多田は欠席(敬称略)

左から、根本・杉田・河合・長島・宮城・横山・内藤 多田は欠席(敬称略)

 

5つの事業 ラインアップ紹介

 

東京芸術祭は2018年度より、総合ディレクターと参加事業のディレクターが協働する「プランニングチーム」によって展開されます。本会見では、5つの事業のディレクターによるラインアップ紹介を行いました。

 

●東京芸術祭直轄事業

 

2018年10月18日(木)~11月4日(日)予定−ディレクター横山義志

 

イタリアを代表する演出家コルセッティが池袋でオーディションを開催し、全出演者を自分の目で選んでつくる『野外劇三文オペラ』を池袋西口公園で上演。フランスからは、ジャンヌトーの大ヒット作『ガラスの動物園』、ステレオプティク『ダーク・サーカス』を上演。振付家メルラン・ニヤカムは、静岡の子どもたちが善悪を超えた子どもの宇宙を描く『空は翼によって測られる』、人生経験豊かな日本の女性たちから希望を紡ぎ出す『アダルト版ユメミルチカラ』の2作品で参加。国際コラボレーションとして、三重・第七劇場と台北・Shakespeare’sWildSistersGroupによるコラボレーション『珈琲時光』を上演。いずれも低価格で観覧できるプログラムとなる。

 

●フェスティバル/トーキョー18

 

2018年10月13日(土)~11月18日(日)−ディレクター長島確/共同ディレクター河合千佳

 

同時代の舞台作品の魅力を多角的に紹介し、舞台芸術の新たな可能性を追求する国際舞台芸術祭。11回目の開催となる本年度は、現在進行形のアジアの舞台芸術やアートを紹介するアジアシリーズで、タイ人振付家ピチェ・クランチェンによる野外公演をはじめ、バングラデシュやカンボジアの作品など、F/Tでしか出会えない作品を上演。また、F/Tとともに新たな境地を開拓し続けるマレビトの会など、日本の先鋭的なアーティストの作品を上演する。新ディレクターによるプログラムとして、シンポジウムなどの開催にも力を入れる。

 

●芸劇オータムセレクション

 

2018年9月1日(土)~11月25日(日)−ディレクター内藤美奈子(東京芸術劇場制作担当課長)

 

東京芸術劇場の主催事業の中でも国際色豊かで、新たな表現の扉を開く4演目が東京芸術祭に参加。東京芸術劇場の芸術監督でもある野田秀樹が演出・出演する『贋作桜の森の満開の下』、イキウメの前川知大による「水木しげるの世界」をモチーフとした書下ろし新作『ゲゲゲの先生へ』、コンテンポラリー・サーカスのパフォーマーであるカミーユ・ボワテルの新作プロジェクトと、国内外のアーティストによる注目の作品が集結。池袋西口公園では、オーストラリアのカンパニーバック・トゥ・バック・シアターによる『スモール・メタル・オブジェクツ』を上演する。

 

●としま国際アート・カルチャー都市発信プログラム

 

2018年9月1日(土)~12月9日(日)−ディレクター根本晴美(あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)制作統括チーフプロデューサー)/杉田隼人(公益財団法人としま未来文化財団みらい文化課プランセクション事業企画担当)

 

2019年「東アジア文化都市」国内都市に決定した豊島区は、区が誇る芸術・文化の魅力を世界に向けて発信し、まち全体が舞台の、誰もが主役になれる劇場都市「国際アート・カルチャー都市」を目指している。今年度は、野外パフォーマンス『大田楽いけぶくろ絵巻』のほかにも、伝統芸能事業を拡大。「伝統芸能@南池袋公園事業」として、野村万蔵の構成・演出による伝統芸能公演『日本の芸能三番叟~中世から江戸へ~』、表現豊かな民俗舞踊が集結する『ひとはおどるー日本の民俗舞踊ー』を実施する。あうるすぽっとでは、浪曲師の玉川奈々福による新企画『奈々福の、惚れるひと。』、映像ディレクター芳賀薫とコンドルズの近藤良平による「ダンスで演劇『右回りの男』」、ロンドンパラリンピックでもパフォーマーとして活躍したダンスアーティスト南村千里による新作『光の音:影の音』を上演。第30回を迎える「池袋演劇祭」も実施する。

 

●APAF-アジア舞台芸術人材育成部門

 

2018年10月15日(月)〜11月12日(月)−ディレクター多田淳之介※記者会見は欠席

 

アジア地域から若手アーティストを選抜し、国際共同制作や国境を越えたネットワークづくりのキーとなる人材の育成を目指す。「国際共同クリエーション」では前年度の国際共同ワークショップから選ばれたインドネシアの演出家ユスティアンシャ・ルスマナによる『BeautifulTrauma』をスケールアップして上演。「国際共同制作ワークショップ」では、ディレクターの多田が課した”Violent”をテーマに、参加者たちがオリジナル3作品を仕上げ発表する。未来の舞台芸術界を担う新しい才能を発掘・育成するためのプログラム「アートキャンプ」では、10日間の滞在の中で、参加者たちがレクチャーや観劇、ディスカッションなどで実践力を高める。いずれも一部を一般公開予定(無料)。

 

東京芸術祭2018 メインビジュアル発表

 

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アートディレクターには昨年度も華やかなビジュアルを展開したデザイナー村上雅士氏を引き続き起用し、昨年度からコンセプトはそのままにカラーリングを更新。東京芸術祭ブランドを定着させつつも、新鮮味のあるビジュアルが完成。池袋の街を彩る東京芸術祭2018メインビジュアルにぜひご注目ください。

 

スクリーンショット 2018-06-29 21.38.43●東京芸術祭ロゴコンセプト

 

シンボルマークの形は舞台を照らすスポットライトを表現。舞台芸術の象徴としてスポットライトを丸と線だけで構成している。ロゴそのものが光であり、照らされたその先に東京芸術祭がある。芸術によって世の中を明るく照らす存在になるように、という想いが込められている。

 

東京芸術祭とは

 

東京の多彩で奥深い芸術文化を通して世界とつながることを目指した、都市型総合芸術祭です。東京の芸術文化の魅力を分かり易く見せると同時に東京における芸術文化の創造力を高めることを目指しています。中長期的には社会課題の解決や人づくり、都市づくり、そしてグローバル化への対応を視野にいれて取り組んでいきます。

 

開催概要

 

名称:東京芸術祭2018(英称:TokyoFestival2018)

 

会期:2018(平成30)年9月1日(土)~12月9日(日)計100日間会場:東京芸術劇場、あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)、池袋西口公園、南池袋公園ほかプログラム数:30プログラム※予定

 

参加事業:東京芸術祭直轄事業、フェスティバル/トーキョー18、芸劇オータムセレクション、としま国際アート・カルチャー都市発信プログラム、APAF-アジア舞台芸術人材育成部門主催:東京芸術祭組織委員会

 

【アーツカウンシル東京・東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)、豊島区、公益財団法人としま未来文化財団、フェスティバル/トーキョー実行委員会】

 

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助成:平成30年度文化庁国際文化芸術発信拠点形成事業(豊島区国際アート・カルチャー都市推進事業)

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