【会場レポ】「ヒンドゥーの神々の物語」が古代オリエント博物館で開幕!約500点の展示から、現代でも変化し続けるヒンドゥーの神話の在りようを見る

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サンシャインシティ(東京・池袋)にある古代オリエント博物館では、9月23日(金)~11月27日(日)の期間、秋の特別展「ヒンドゥーの神々の物語」が開催されています。

時代ごとにさまざまな媒体に表され、厚い信仰を集めてきたシヴァ、ヴィシュヌ、クリシュナ、サラスヴァティーといったヒンドゥーの神々、そのイメージの展開を紹介する本展。

開催に先立って行われた内覧会に参加してきましたので、会場の様子や展示品についてレポートします。

 

※展示風景の写真には光の反射や映り込みが多くなっています。ご了承ください。

 

会場入り口

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会場風景

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ヒンドゥー教の入門編としても楽しめる!特別展「ヒンドゥーの神々の物語」

 
破壊と創造の神・シヴァ。
知恵と学問の象頭神・ガネーシャ。
三大神・ヴィシュヌの化身、愛の神であり、個性的なヒンドゥーの神々の中でも最も人気のあるヒーロー・クリシュナ。

映画で、漫画で、ゲームで。ヒンドゥーの神話や叙事詩に詳しくなくても、神々の名前くらいは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

本展「ヒンドゥーの神々の物語」は、現代まで続くヒンドゥー教の世界が人々、とくに一般庶民の間でどのような形で表現・信仰されてきたのか、そのイメージの展開を追う展覧会。

展示は、長年にわたりインドの大衆宗教美術を収集してきた個人コレクターの黒田豊氏が、2019年に福岡アジア美術館へ寄贈したコレクションを核として、そこに古代オリエント博物館、平山郁夫シルクロード美術館、個人の所蔵品を加えて構成されています。

 

会場風景

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20世紀前半の大衆宗教画を中心に、先史インダスの土器や女神像、17世紀以降のインド更紗、ガラス絵、民族画、そして現代作家のイラストレーションに至るまで、その数約500点。

インド美術というと荘厳な彫刻を思い起こす方も多いでしょうが、本展はカラフルな絵画が中心なので会場も非常に華やか!

ヒンドゥーの神々やエピソードをまとめて紹介しているコーナーもあり、入門編としても楽しめる内容になっています。

 

神話のイメージを定着させたヴェルマー・プリントに注目!

 

会場は「序章」と「第1章」~「第5章」まで、全6セクションで構成されています。

民族宗教であるヒンドゥー教は、紀元前1500年頃の先史インダス文明期にインドにやってきたアーリア人の信仰・バラモン教から発展。インド各地で信仰されていた土着の神々や人気のある英雄譚を取り込みながら、4~5世紀頃までに体系化されたと考えられています。

「序章 インド世界の誕生-土・石・金属の造形」では、まず南アジアの先史から古代の精神性を表す、土や石といった身近な素材を使用した土偶や土器などの工芸資料を展示。植物や動物を慈しみ畏れる自然崇拝、女性を豊穣の象徴とする女神崇拝など、その後のヒンドゥーの世界へつながる祈りの形が見てとれます。

 

ナール式土器。水や魚は、乾燥地域における豊かさのシンボルだったのでしょうか。■《魚文壺》バローチスターン地方/前3500~前3000年頃/古代オリエント博物館

ナール式土器。水や魚は、乾燥地域における豊かさのシンボルだったのでしょうか。 ■《魚文壺》バローチスターン地方/前3500~前3000年頃/古代オリエント博物館

ヒンドゥーの神話においてはシヴァ神の乗り物、ナンディンとして神聖視されているコブウシ。つぶらな瞳がかわいい。■《コブウシ土偶》バローチスターン地方/前2200~前2000年頃/古代オリエント博物館

ヒンドゥーの神話においてはシヴァ神の乗り物、ナンディンとして神聖視されているコブウシ。つぶらな瞳がかわいい。 ■《コブウシ土偶》バローチスターン地方/前2200~前2000年頃/古代オリエント博物館

豊穣を祈願したのだと考えられている女性型の土偶。■《女性土偶》インド、パキスタン/前3~前1世紀/個人蔵

豊穣を祈願したのかもしれない、女性をあらわした土偶。 ■(写真右)《女性土偶》インド、パキスタン/前3~前1世紀/個人蔵

 

展示のうち、

「第1章 煌びやかなイメージ-更紗・細密画・ガラス」
「第2章 民衆に愛される神々-民俗画・刺繍・祭り」
「第3章 印刷技術とグローバル時代の到来-書物・オレオグラフ・陶磁器」

までの前半エリアでは、17世紀以降、人々がどのような媒体でヒンドゥーの神々と接触してきたのかを紹介しています。

各地の王族やイギリスの高級官吏向けの美術品として、豪華な更紗や細密画などの伝統絵画や、ガラス板・雲母板という新しい画材が登場した一方で、人々の暮らしの中には家族のために女性たちが設える「カンタ」と呼ばれる刺し子布や、参拝みやげの安価な神様絵などが存在。ヒンドゥーの美術が民衆たちの生活にも密着し、親しまれていたことを伝えています。

 

金箔や銅片で煌びやかに彩られた礼拝用のガラス絵。■(写真左)作者不明《笛を吹く羊飼い(クリシュナ)》、(写真右)作者不明《女性楽士に囲まれるクリシュナ》いずれも南インド/19世紀後半~20世紀前半/福岡アジア美術館(黒田豊コレクション)

金箔や銅片で煌びやかに彩られた礼拝用のガラス絵。 ■(写真左)作者不明《笛を吹く羊飼い(クリシュナ)》、(写真右)作者不明《女性楽士に囲まれるクリシュナ》いずれも南インド/19世紀後半~20世紀前半/福岡アジア美術館(黒田豊コレクション)

雲母絵に使われる雲母の板は1辺10~20センチと小さく、細密画のような精緻な描写が求められたとか。■作者不詳/南インド/19世紀中頃/黒田豊コレクション

雲母絵に使われる雲母の板は1辺10~20センチと小さく、細密画のような精緻な描写が求められたとか。 ■作者不詳/南インド/19世紀中頃/黒田豊コレクション

クリシュナ信仰の寺院で、本尊の後ろに吊るされた美しい更紗。文字の読めない人々にも物語を分かりやすく伝える手段として用いられたそう。■作者不詳《クリシュナ図描絵金更紗(ピチュワーイ―)》17-18世紀/平山郁夫シルクロード美術館

クリシュナ信仰の寺院で、本尊の後ろに吊るされた美しい更紗。文字の読めない人々にも物語を分かりやすく伝える手段として用いられたそう。 ■作者不詳《クリシュナ図描絵金更紗(ピチュワーイ―)》17-18世紀/平山郁夫シルクロード美術館

主にベンガル地方の女性たちが、家族のために設えた「カンタ」と呼ばれる刺し子布。本作は婚礼用に特別に作られた装飾的なもので、ヒンドゥーの神々のほか、婚礼を祝う楽団やイギリス人の植民地官僚などが描かれ、当時の時代背景が伺えます。■作者不詳《千花弁の蓮とヒンドゥーの神々》バングラデシュ/19世紀中頃/福岡アジア美術館

主にベンガル地方の女性たちが、家族のために設えた「カンタ」と呼ばれる刺し子布。本作は婚礼用に特別に作られた装飾的なもので、ヒンドゥーの神々のほか、婚礼を祝う楽団やイギリス人の植民地官僚などが描かれ、当時の時代背景が伺えます。 ■作者不詳《千花弁の蓮とヒンドゥーの神々》バングラデシュ/19世紀中頃/福岡アジア美術館

「ミティラー画」と呼ばれる、主にビハール州ミティラー地方の女性たちが家庭における宗教儀礼や人生の節目に家の土壁や床に書いた絵。豊穣や家族の幸せを願い、母から娘へ受け継がれていきます。現代ではアートとして紙や布に描かれています。■作者不詳《ガネーシャ》20世紀末/黒田豊コレクション

「ミティラー画」と呼ばれる、主にビハール州ミティラー地方の女性たちが家庭における宗教儀礼や人生の節目に家の土壁や床に書いた絵。豊穣や家族の幸せを願い、母から娘へ受け継がれていきます。現代ではアートとして紙や布に描かれています。 ■作者不詳《ガネーシャ》20世紀末/黒田豊コレクション

400年ほど前から伝えられている「カヴァト」と呼ばれる移動式寺院。絵を見せながら物語を語るために用いられた道具。■作者不詳《カヴァト》20世紀後半/黒田豊コレクション

400年ほど前から伝えられている「カヴァト」と呼ばれる移動式寺院。絵を見せながら物語を語るために用いられた道具。 ■作者不詳《カヴァト》20世紀後半/黒田豊コレクション

写真家・沖守弘氏が撮影した20世紀後半頃のインドの祭礼とそれに関わる人々の姿。祭りはいずれも壮大で華々しさがあります。

写真家・沖守弘氏が撮影した20世紀後半頃のインドの祭礼とそれに関わる人々の姿。祭りはいずれも壮大で華々しさがあります。

 

前半エリアの見どころは、印刷技術の進歩がヒンドゥーの神話のイメージを定着させたことを紹介する第3章。

ヨーロッパで発明・発展した石版印刷は、19世紀のイギリス植民地時代のインドにも伝わり、木版画や銅版画に代わる新しい媒体としてさまざまに展開していきました。その流れのなかで、今日まで続くヒンドゥーのイメージの流布にひときわ貢献したのが、インド人画家のラヴィ・ヴァルマーという人物だったそう。

 

ヴェルマーの初期のオレオグラフ(多色石版画)■ラージャー・ラヴィ・ヴェルマー《ラクシュミー》1894-1901年/福岡アジア美術館

ヴェルマーの初期のオレオグラフ(多色石版画) ■ラージャー・ラヴィ・ヴェルマー《ラクシュミー》1894-1901年/福岡アジア美術館

 

ヴァルマーはインド近代美術のパイオニアのひとりで、西洋絵画をほぼ独学で習得。優美で写実的な表現が、イギリス人主導の美術界やインド各地の宮廷から高い人気を誇ったといいます。

彼は画家でありながら自身でも印刷所を運営し、人気の自作の油彩画を色鮮やかなオレオグラフ(多色石版画)で大量複製。一般家庭や、それまで経済的、あるいはカースト的制約から寺院の神像にアクセスできなかった人々の手にも宗教画が生き渡ったのだとか。

この“ヴェルマー・プリント”はのちに商品ラベルや広告の印刷を手掛けるなど商業的展開も見せました。ヴェルマーのイメージは商標としても再生産され続け、それまで個人でバラバラだったヒンドゥーの神話の姿が、20世紀前半にはヴェルマーのイメージで定番化したというからその影響力に驚かされるばかり。

 

この3点は同じヴェルマーの《サラスヴァティ―》のオレオグラフですが、写真右は印刷所稼働初期のもの。初期は色版の版数が多く、より元の油彩画に忠実な柔らかい表現が見られます。

この3点は同じヴェルマーの《サラスヴァティ―》のオレオグラフですが、写真右は印刷所稼働初期のもの。初期は色版の版数が多く、より元の油彩画に忠実な柔らかい表現が見られます。

2点はともに、ヴェルマー・プリントで人気だった《モーヒニー》のイメージ。ずいぶん様相が異なりますね。同じイメージの作品でも、家庭でコラージュやアレンジを行うことも多かったとか。

この2点はともに、ヴェルマー・プリントで人気だった《モーヒニー》のイメージ。ずいぶん様相が異なりますね。同じイメージの作品でも、家庭でコラージュやアレンジを行うことも多かったとか。

 

本章では、そんなヒンドゥーの美術史を知るうえで欠かせない存在、ヴェルマー・プリントの大衆宗教画をはじめとする多数のオレオグラフのほか、変わり種として日本からインドに輸出されたマッチのラベルなども展示。「商品ラベルに神様の絵を描くとよく売れる」というインド市場の特徴がよく伝わってくる内容となっています。

ちなみに、商品ラベルといえば、商品が不要になったらラベルの絵部分を切り取って、礼拝の対象へ変換することもよく行われたそう。商業的展開と信仰という聖俗両面の実践が、今日の神のイメージを形作ったというのは面白いところではないでしょうか。

 

綿織物や香水、紅茶、タバコなどに用いられたインドの商標。

綿織物や香水、紅茶、タバコなどに用いられたインドの商標。

明治中期から大正後期にかけて日本からインドへ輸出されたマッチのラベル。インドの商標同様、現地の宗教伝統を見込んで、神々の姿や神話の場面などヒンドゥー教に関する図柄の割合が大きかったとか。

明治中期から大正後期にかけて日本からインドへ輸出されたマッチのラベル。インドの商標同様、現地の宗教伝統を見込んで、神々の姿や神話の場面などヒンドゥー教に関する図柄の割合が大きかったとか。

 

神々の相関図や有名なエピソードの紹介コーナーも

 

展示エリア後半、「第4章 オレオグラフに見られる神々の信仰」は、三大神のヴィシュヌやシヴァ、女神のラクシュミーやパールヴァティー、叙事詩「ラーマーヤナ」の英雄でありヴィシュヌの化身・ラーマなど、魅力的なヒンドゥーの神の姿や、神話や叙事詩での有名なエピソードを大衆宗教画でたどるコーナーとなっています。

 

第4章展示風景

第4章 展示風景

丁寧に相関図も準備されています。

丁寧に相関図も準備されています。

 

一度は耳にしたことのある神様の名前がきっと見つかるはず。

うっかり息子のガネーシャの首を飛ばしてしまったシヴァが、首を探すけれども見つからず、たまたまそばを通りかかった象の頭を乗せた。ラーマ王子の従者の猿神ハヌマーンが、薬草を探すために山に入ったはいいものの、どれが目的の薬草か分からず、結局山ごと引き抜いて持って帰った……

ヒンドゥーの物語あるあるな壮大さと大ざっぱさが混じったエピソードが絵とともに楽しめます。

この章の内容を踏まえてから第1章から見直すとより理解が深まるでしょう。筆者もそうですが、ヒンドゥー初心者は入場したら、3章まで飛ばして4章から見るというのもアリかもしれません。

 

ヒンドゥーの神話のうち、ヴィシュヌ派の神話の宇宙創造のエピソードを描いた作品。原初の海としてヴィシュヌが存在しています。 ■ヴァースデーオ・H・パンディヤ《シーシャの上に横たわるヴィシュヌ》ドイツ/20世紀前半/福岡アジア美術館

ヒンドゥーの神話のうち、ヴィシュヌ派の神話の宇宙創造のエピソードを描いた作品。原初の海としてヴィシュヌが存在しています。 ■ヴァースデーオ・H・パンディヤ《シーシャの上に横たわるヴィシュヌ》ドイツ/20世紀前半/福岡アジア美術館

破壊と創造の神・シヴァの紹介。片足を上げた奇妙なポーズで描かれることが多いなと思って説明と読むと、シヴァは「ナタラージュ(舞踏の王)」の別名をもち、リズミカルに踊る姿は宇宙の創造と破壊を示しているそう。ポーズをとっていたのではなく踊っていたのかと納得。

破壊と創造の神・シヴァの紹介。片足を上げた奇妙なポーズで描かれることが多いなと思って説明と読むと、シヴァは「ナタラージュ(舞踏の王)」の別名をもち、リズミカルに踊る姿は宇宙の創造と破壊を示しているそう。ポーズをとっていたのではなく踊っていたのかと納得。

貞淑で優しい女神パールヴァティーの別の姿、殺戮の女神カーリーのインパクトのあるビジュアル。殺した相手の首をネックレスとして巻いていて非常に怖い。憤怒に我を忘れたカーリーを夫であるシヴァが体当たりで諫めた際、舌を出して自分を鎮めたといいますが、つまりこの舌を出しているのは「てへぺろ」ということ……? ■作者不詳《カーリー》インド/20世紀前半/福岡アジア美術館(黒田豊コレクション)

貞淑で優しい女神パールヴァティーの別の姿、殺戮の女神カーリーのインパクトのあるビジュアル。殺した相手の首をネックレスとして巻いていて非常に怖い。憤怒に我を忘れたカーリーを夫であるシヴァが体当たりで諫めた際、舌を出して自分を鎮めたといいますが、つまりこの舌を出しているのは「てへぺろ」ということ……? ■作者不詳《カーリー》インド/20世紀前半/福岡アジア美術館(黒田豊コレクション)

 

現代のクリエイターが描く、新しいヒンドゥーの神々の姿

 

現在のインド社会では、出版業界の拡大のみならず、テレビやインターネットの普及によってヒンドゥーの神々の物語が多様な形で大衆に拡散。変わらず敬虔な信仰の対象である一方で娯楽コンテンツにもなりました。

また、今なお強い喚起力をもつそれらはアートの魅力的なテーマにもなり、現代アーティストたちは新しい時代のメデイアやデジタル技術を駆使しながら、それぞれのやり方で世界観を展開しています。

ラストとなる「第5章 21世紀へ―物語は語り継がれる」では、そうやって時代とともに変転し続けるヒンドゥーの世界の最先端を紹介しています。

 

第5章展示風景

第5章 展示風景

おっとりとおおらかなイラストで描かれることの多いガネーシャが、おそろしくも威厳のある劇画調に。■アビシェーク・シン《永遠のガネーシャ》2018年/作家蔵

おっとりとおおらかなイラストで描かれることの多いガネーシャが、おそろしくも威厳のある劇画調に。 ■アビシェーク・シン《永遠のガネーシャ》2018年/作家蔵

長編デジタルコミックシリーズ『18日間』のデジタル画。タッチや構図がどことなくクトゥルフ神話チック。■作:グラント・モリソン、絵:ムケーシュ・シン《18日間(マールカンデーヤの入り口)》インド/2013(2010)年/出版;グラフィック・インディア

長編デジタルコミックシリーズ『18日間』のデジタル画。タッチや構図がどことなくクトゥルフ神話チック。 ■作:グラント・モリソン、絵:ムケーシュ・シン《18日間(マールカンデーヤの入り口)》インド/2013(2010)年/出版;グラフィック・インディア

 

どの現代アートからも共通して感じるのは神への敬意。

とくに目を引いたのはグラフィック・ノベル界で活躍するアーティスト、ムケーシュ・シンによる《究極の征服者ラーヴァナ》のデジタル画の巨大ビジュアル。まるでSF映画のポスターのようで、迫力に圧倒されます。

 

■ムケーシュ・シン《究極の征服者ラーヴァナ》インド/2013年/作家蔵

■ムケーシュ・シン《究極の征服者ラーヴァナ》インド/2013年/作家蔵

 

かつてヴェルマー・プリントのイメージがインド中を席巻したように、ムケーシュ・シンの展開が新しいスタンダードになってもおかしくない。そう考えてしまうほど、数千年を超えて人々に力を与え続けたヒンドゥーの物語のイメージとして、大きな説得力を感じさせるグラフィックでした。

 


 

ヒンドゥー教の人々の中には、神様が描かれたカレンダーなどは簡単には捨てられない人が少なくないとか。その葛藤は、絵が単なる神のイメージではなく、それ自体が神であるという考えにもとづいているといいます。

また、彼らは自宅に作った祭壇の神様に、聖化のための赤い粉をつけたり、花輪を掛けたりと、神様を眺めるだけでなく、自ら能動的に関わることで神様と心を通わせているそう。

今も人々の心の中に息づき、変化を続けるヒンドゥーの世界観を楽しめる特別展「ヒンドゥーの神々の物語」。詳しい方も初心者の方も楽しめる展示となっていますので、ぜひ足を運んでみてください。

 

特別展「ヒンドゥーの神々の物語」開催概要

会場 池袋サンシャインシティ文化会館ビル7F 古代オリエント博物館
会期 9月23日(金・祝)~11月27日(日)
開館時間 10:00~16:30(最終入館16:00)※変更の可能性あり
休館日 会期中無休
入館料 入館料:一般1,000円 大・高生800円 中・小生400円
※平日限定で約2割引きとなるペア券や親子券も販売されます。
ペア券:一般2名2,000円→1,600円、大・高生2名1,600円→1,200円、中・小生2名800円→600円
親子券:一般1名+大・高生1名1,800円→1,400円、一般1名+中・小生1名1,400円→1,100円
(20名以上の団体割引・障がい者割引あり。)
主催 公益財団法人 古代オリエント博物館
公式ページ https://aom-tokyo.com/exhibition/220923_hindu.html

※本記事の内容は内覧会(2022/9/22)時点のものです。最新の情報は公式ページ等をご確認ください。

 

 

 

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