2021年8月20日(金)〜9月12日(日)の期間、東京・池袋にある東急ハンズ池袋店 7F 特設会場では、ある珍しいイベントが開催中です。
その名も「おもしろ同人誌バザール in 東急ハンズ池袋店 〜最初で最後の同人誌祭〜」。
一般の書店ではお目にかかれない、作者の「何かを伝えたい」という情熱がつまった“情報系同人誌”が一堂に会する本のお祭り。売り場の様子や販売されている本についてレポートします!
ニッチな魅力が満載の“情報系同人誌”の世界へようこそ!
同人誌(※)の即売会「おもしろ同人誌バザール」。この記事を書いている筆者は今回のイベントで初めて存在を知ったのですが、2016年に初めて開催されて以降、神保町を中心に規模を拡大しながらイベントを展開し、毎回大変な人気を集めているそうです。今回は出張版のような扱いみたいですね。
(※)……同人誌はざっくり説明すると、出版社などの商業出版を通さず、個人やグループ(サークル)が自ら印刷・製本したり、印刷所に依頼したりして制作した本のこと。通常は一般書店には流通せず、同人イベントでの頒布、専門通販サイトでの委託販売などで入手できます。
同人誌と聞くとアニメや漫画の本を思い浮かべる方も多いと思いますが、「おもしろ同人誌バザール」で取り扱われているのは情報系同人誌と呼ばれる、読者に伝えたい「情報」をテーマにまとめられた本ばかり。
旅、食、風景、建築、歴史、鉄道、カルチャー、ライフスタイル……。写真で、イラストで、漫画で、文章で、作者自身が面白いと思ったこだわりのネタを追求し、自由に表現しています。
「普通の本屋で売っているムック本みたいなもの?」と想像するかもしれませんが、例えばこちらの「5000円以下の万年筆」を片っ端から評価していくシリーズ本や、一生に一度は泊まりたい名旅館として知られる和倉温泉「加賀屋」の“2番目に”いい部屋に泊まったおじさんたち3人が、それぞれの視点で率直な感想をつづる旅行記などなど、万人受けはしないかもしれないけれど、刺さる人には刺さりそうなニッチな内容の本が目白押し。
「なぜそれを題材に……!?」「こんなことまで本にしちゃうんだ!」という驚きがたくさん。時間を忘れて楽しめること請け合いです。
広々とした売り場でコの字型に500種類以上の情報系同人誌が陳列されていています。いずれの本もサンプル付きなので、内容を確認して納得の上で購入することが可能というのがうれしいポイント。
本の仕様はホチキスどめの簡易的なもの、一般書店に並んでいてもおかしくないキラキラ加工の高級志向のものまで幅広く、安いもので200円(!)の本もありました。入場はもちろん無料ですから、気軽に足を運んで情報系同人誌の世界を物色することができますよ。
販売されている同人誌をピックアップ紹介!
どんな本があるのか、売り場を見て回って筆者が気になった同人誌をいくつか紹介していきます。
まずはこちらは『明治時代の入試問題』シリーズ(サークル名:博究社)。勉強嫌いの筆者でも物珍しさに思わずページをめくってしまいました。
明治時代の入試問題を収集し,作者さん自身で解答・解説を付けたものとのこと。歴史の本では「平治の乱を略記せよ」「南北朝両分の起因を問ふ」など、ぱっと見で言葉遣いは難しげでも意外と答えられそうな設問もあって面白かったです。100年が意外と身近に感じられるシリーズでした。
社会人必見なのはこちらの『スマート言い訳全集』(サークル名:ANTIQUE PUMPKIN)。「待ち合わせ・会議に遅刻しそう/してしまった」、「仕事中に仕事と関係ないWebページを見ているのを上司に見つかった」と具体的なシーン別で、さまざまな言い訳を注意すべきポイントまでアドバイスしてくれる非常に実用的な内容です。
今はリモート勤務されている方も多いと思いますが、いずれ来たる出社の日々に向けて予習しておくのもアリ?
「えっ、大丈夫なの⁉」と若干のいかがわしさに不安を覚えた『白い粉これくしょん』(サークル名:東相模原研)。なかは「トレハロース」や「キシリトール」など市販されている白い粉、42種類を紹介している合法で真っ当な本だったのでひと安心。絵本のようなハードカバー仕様です。
白い粉ってコレクションするほど見た目の違いがあるのかな? と疑問でしたが、粉の形状や固まり方に意外なほど個性があって奥が深い……。写真のクオリティ自体も非常に高く見入りました。
4人の収集コレクターが、それぞれのお気に入りの雑貨をところ狭しと並べた写真集『収集百貨』(サークル名:溜めっこどうぶつ)は、手に入れたら目的もなくつい眺めてニヤニヤしてしまいそうな魅力に満ちた一冊。缶にアンティークマグネットに封筒に、カラフルでかわいらしさ満点です。素直に「好きなものを集めるっていいなあ」という気持ちにさせてくれました。
最後に『ドラキュラ伝説紀行』(サークル名:Dracula’s Blood)のご紹介を。ドラキュラ伝説に魅了された作者が、ルーマニアを旅した際に出会った風景を記録したフルカラー写真集。シギショアラの街、ブラン城、スナコヴ修道院……作者の憧れの気持ちがそのまま映し出されたような、美しさ極まる写真の数々に魅了され、気づけば購入していました。おとぎ話の世界を垣間見た心地でうっとり。ぜひ実物を手に取ってご覧いただきたいです。
東急ハンズスタッフのおすすめ本はこちら!
売り場で日々、「おもしろ同人誌バザール」の同人誌たちに接しているスタッフさんの目線からおすすめ本を紹介していただきました。それがこちらのベビーフード&レトルト介護食のレビュー本『バブ味 総集編』と『最後のほうの晩餐』(サークル名:ピーターマン)。
「人の一生において最初から最後まで欠かすことのできない“食”について、両極端な視点で紹介されているのが素晴らしいテーマだな、と思いました。アレルゲン一覧もついているので、親御さん、介護者の方々、それぞれ非常に重宝しそうです」とのこと。両方揃えてみるのも面白そうですね!
今は人込みを避けたい時期ですので、混雑状況のお話も。
本記事の執筆に当たり、8月27日(金)の午前中に売り場へ足を運びしましたが、そのときはお客さんが4人ほどでゆっくりと見て回ることができました。
「土日はまた違うかもしれませんが、少なくとも平日は初日のように入場制限ができるほどには混まないのではないかと思われます」とスタッフさんにうかがいましたので、予定が合うなら平日昼間がおすすめです。
また、会場ではすでに売り切れの本が出ていましたが、なかには追納予定の商品もあるそう。最新の入荷状況などはおもしろ同人誌バザールの公式Twitterアカウント(https://twitter.com/omobaza)をチェックしてみるのがいいかもしれません!
本好きならきっと幸せになれる「おもしろ同人誌バザール in 東急ハンズ池袋店 〜最初で最後の同人誌祭〜」の開催は9月12日(日)まで。
なお、東急ハンズ池袋店は10月31日(日)で閉店が決まっています。(悲しすぎる……)
タイトルにもあるように「最初で最後」の機会なので、この面白いイベントに足を運んでみてください。
※掲載されている情報は取材日(2021年8月27日)時点のものです。紹介した本のなかには完売した作品が含まれている場合もありますので、あらかじめご了承ください。
「おもしろ同人誌バザール in 東急ハンズ池袋店 〜最初で最後の同人誌祭〜」概要
会場 | 東急ハンズ池袋店 7F 特設会場 東京都豊島区東池袋1-28-10 |
開催期間 | 2021年8月20日(金)〜9月12日(日) |
開催時間 | 東急ハンズ池袋店の営業時間に準じる |
公式Twitter | https://twitter.com/omobaza |
東急ハンズイベントページ | https://ikebukuro.tokyu-hands.co.jp/item/-in-15.html |
<過去の取材記事>
『ドラゴンクエスト』から映画音楽、クラシックの名曲まで!【東京芸術劇場】「サラダ音楽祭」鑑賞レポート
【グランドシネマサンシャイン池袋】劇場版『BanG Dream! FILM LIVE 2nd Stage』先行上映会レポート
オープンしたばかりの「匠大塚 池袋東武店」取材レポート 1,000点以上の厳選商品が揃う都内最大店舗にお邪魔しました!