古代オリエント博物館 2023年度秋の特別展「おまもりとハンコとコイン -古代オリエントの偉大なる小さきものたち-」【9月23日(土・祝)~11月19日(日)】

main

 

初展示のスカラベや勝利の女神“ニケ” を刻んだコインの展示も

サンシャインシティ(東京・池袋)にある古代オリエント博物館は、2023年度秋の特別展「おまもりとハンコとコイン -古代オリエントの偉大なる小さきものたち-」を9月23日(土・祝)~11月19日(日)の期間、開催いたします。

古代エジプトのおまもり(スカラベや護符)、メソポタミアのハンコ(円筒印章やスタンプ印章)、そして古代オリエントに生まれ、東西にまたがって流通したコインは、小さな工芸品ではあるものの、その時代の政治、宗教、経済、人々の日常生活など、当時の社会について莫大な情報を我々に伝えてくれます。
本展覧会では、博物館の展示スペース約半分を使用し、当館所蔵資料を中心に約300点を展示します。初展示の資料もあり、それぞれの展示物は小さいながらも見応えがある特別展になっています。関連したワークショップなどの開催も予定しています。

 

 

・開催概要

・展示会名:2023年度 秋の特別展「おまもりとハンコとコイン -古代オリエントの偉大なる小さきものたち-」
・会期:9月23日(土・祝)~11月19日(日)
・開館時間:10:00~17:00(最終入館16:30)※変更の可能性あり
・入館料:一般700円 大・高生600円 中・小生300円 ※団体割引・障害者割引あり
・展示内容:古代オリエント博物館の所蔵する護符(古代エジプト、メソポタミア)、印章(古代エジプト、メソポタミア)、コイン(西アジア、東地中海、中央アジア、南アジア)を中心に約300点を展示。初展示のスカラベの展示も。
・主催:公益財団法人 古代オリエント博物館
・後援:豊島区、豊島区教育委員会
・特別協力:サンシャインシティ
・ウェブサイト:https://aom-tokyo.com/exhibition/230923amuletsealcoin.html

 

 

・特別展担当のイチオシ展示

■特別展主担当 田澤 恵子(タザワ ケイコ)のイチオシ!

 

sub1

 

エジプトのお土産品としてなじみ深いスカラベ。これは、古代エジプトで実際に作られ、人々が身につけたり、ミイラの包帯の中に巻き込んだりして再生や復活への祈りを紡いだ小さなおまもり「スカラベ」にちなんだものです。このおまもりはスカラベ甲虫(コガネムシ科の昆虫で、ラテン語の学名から「スカラベ」と呼ばれる)の姿を象(かたど)ったもので、底面(腹部側)には、様々な文字や図像や模様が刻まれています。時代や制作地によって底面の文様や用途には様々な特徴がありますが、私の推しスカラベは、背面が本来のスカラベではなく、他の動物や人間の頭部になっているスカラボイドと呼ばれるもので、ハヤブサの頭があしらわれています。紀元前664年~紀元前332年の間に作られたデザインであることがわかっています。本展では、この他に初展示のスカラベもご紹介いたします。

 

sub2

特別展主担当 田澤 恵子(タザワ ケイコ)

特別展主担当 田澤 恵子(タザワ ケイコ)

 

■特別展副担当 津村 眞輝子(ツムラ マキコ)のイチオシ!

 

sub3

 

検印、署名といったハンコの機能は古代も現代も同じですが、大きく違うのは古代メソポタミアのハンコは粘土に押していたことです。特に興味深いのは円筒印章で、たとえばこの円筒印章は径がたった9mmしかないのですが、転がすことで一周約3cmの印面が粘土に浮かび上がります。転がし続ければエンドレスに続き、また中心の孔に紐を通して身につけることもできます。実に画期的なアイデア商品といえます。筒型の側面に細かい文字や図柄を彫るには一流の職人技なくしてはできず、円筒印章を作る職人は人類史上初の近視になった人々だともいわれます。本展では、絵解きや拡大鏡などを用いて楽しんでもらえる展示にする予定です。

 

特別展副担当 津村 眞輝子(ツムラ マキコ)

特別展副担当 津村 眞輝子(ツムラ マキコ)

 

 

・展示内容のご案内

第1章 おまもり

人々が、子孫繁栄や豊穣多産、家内安全や無病息災、そして死後の安寧を願う気持ちは今も昔も変わりません。古代エジプトや古代メソポタミアの人々が、そんな想いをこめて作った数々のおまもりを展示します。彼らは、人間の足や心臓など身体の一部やウサギ、ウシ、サカナ、ヒツジなど身近な動物たちの姿、そして神話を基にした神々の姿を象ったおまもりを石やファイアンス(古代の焼き物)、貝などで作りました。そして、それらを身につけて持ち歩いたり、墓に副葬することでそのご利益に与ろうとしました。僅か1~2㎝ほどの小さなおまもりが、当時の人々の世界観を今に伝えてくれます。初展示のスカラベも登場します。

 

※ウジャト:ホルス神の眼

※ウジャト:ホルス神の眼

sub4

 

 

第2章 ハンコ

今から8000年前頃から古代メソポタミアで使われはじめたハンコを紹介します。ハンコ自体が動物の形をしたスタンプ印章や、粘土に転がす円筒印章、インダス式スタンプ印章、赤や白のキレイな石に彫り込んだペルシア(現:イラン)の小さなハンコなど、さまざまな時代、地域のハンコを展示します。孔が開いたものが多く、紐を通して身につけたり、中にはお守りの役割も兼ねていたハンコもありました。石や貝などで作られ、手の平に乗る小さなハンコに、幾何学模様や動植物文様、神話、文字などが丁寧に彫り込まれています。

 

sub6

sub7

 

 

第3章 コイン

前7世紀頃からオリエントで発展した金、銀、銅などのコインは、金属の純度や重量を保証した印が表と裏に刻印されました。表に発行者の顔、裏に信奉する神を刻印する習慣は今のヨーロッパのコインにもつながっています。発行地や発行者の文字、神やシンボルなどが刻まれたコインは、小さいながら当時の政治、宗教、文字、そして美術表現など様々な情報を伝えてくれます。さまざまな時代・地域の金貨、銀貨、銅貨を紹介します。

 

sub8

 

勝利の女神“ニケ”を刻んだコイン
アフガニスタンからパキスタン、インド北西部を支配したギリシア人の王朝が発行したコイン。ギリシア語・ギリシア文字だけでなく、地元のプラークリット語・カローシュティー文字で「勝利王アンティマコスの」という同じ内容を表裏に記しています。図柄はギリシアの勝利の女神“ニケ”が棕櫚の葉を持つ姿と、裏には騎馬姿の王が表されている。このような二カ国語表記のコインは文字の解読に一役買いました。

 

sub9
 

 

第4章 その他の小さきものたち

その他の、小さくても大切な役割や情報を持っていた資料を紹介します。たとえばメソポタミアの前2000年頃の鉄鉱石製のアヒルや蛙の姿をした展示品は、実は当時の重量単位にのっとった「分銅」で、貴重品を計量するのに欠かせませんでした。また、パルミラというシリア砂漠のオアシス都市で使われた小さな粘土製品は、神殿における宗教的宴会への入場券、特定市民への食料や葡萄酒配布の引換券などに使われていたと考えられており、当時の人々ならすぐ理解できる神などのシンボルが刻印されています。

 

sub10

 

 

・本特別展関連グッズ

■<シヤチハタとのコラボ>オリジナルハンコを作ろう!

下記の期間、シヤチハタのオスモ機を設置し、本展覧会に展示されているおまもりやハンコ、コインの図柄に加え、博物館オリジナルのイラストの中からお好きなデザインのオリジナルハンコをお作りいただけます。

期間:10月1日(日)~31日(火)
料金:900円(スタンプホルダー〔ハンコ本体〕代)

 

オリジナルハンコ(2パターン・イメージ)

オリジナルハンコ(2パターン・イメージ)

 

 

・その他関連イベント

■オリ博講演会「エジプトのスカラベとおまもり・ペルシアのコインとハンコ」
日時:10月21日(土) 14:00~15:30
参加費:500円  ※友の会会員、年間パスポート保有者は無料
会場:サンシャインシティ内会議室
講師:田澤 恵子(本展覧会主担当)・ 津村 眞輝子(本展覧会副担当)
申込方法:事前申込制(会場定員40名・オンライン同時視聴500名)

 

sub11

sub12

 

■月いち!オリ博オンライン講座 (各講座約1時間)
①「ハンコの話」
配信期間:10月18日(水)15:00配信開始~10月25日(水)15:00
講師:石田恵子(元古代オリエント博物館研究員)

②「パルミラのテッセラ 小さな粘土片は宴会の招待状?」
配信期間:11月15日(水)15:00配信開始~11月22日(水)15:00
講師:宮下 佐江子(国士舘大学イラク古代文化研究所特別研究員)

 

パルミラ遺跡

パルミラ遺跡

 

①・②ともに
参加費:各回500円 ※友の会会員、年間パスポート保有者は無料
申込方法:各回ともに事前申込制

 

■研究員による「特別展ギャラリートーク」
日時:9月23日(土・祝)・30日(土)/10月9日(月・祝)・14日(土)・28日(土)/11月5日(日)・12日(日)・18日(土)各日14:30~
  ※博物館公式ウェブサイトや公式SNSなどをご確認ください。
参加費:無料 ※別途入館料
内容:特別展に展示してある作品や見どころについて展覧会担当研究員が解説します。
会場:古代オリエント博物館内
申込方法:申込不要

 

研究員による「特別展ギャラリートーク」

研究員による「特別展ギャラリートーク」

 

■視覚障害者の方のための展示解説ツアー
日時:11月1日(水)・12日(日)各日16:30~17:30
参加費:無料
  ※別途入館料(障害者手帳提示で入館料半額・介助者の方は無料)
内容:視覚障害者の方対象の展示解説。秋の特別展「おまもりとハンコとコイン」に関連する資料を触りながら、担当研究員の解説を聞くことができます。
定員:各日5名
対象:小学生以上の視覚障害者の方
申込方法:事前申込制

 

視覚障害者のための展示 解説ツアーイメージ

視覚障害者のための展示 解説ツアーイメージ

 

 

●ワークショップ

■ファイアンスワークショップ

 

ファイアンスワークショップ (イメージ)

ファイアンスワークショップ (イメージ)

 

①【制作体験教室】古代の焼き物「ファイアンス」の世界を探る(大人向け)
日時:10月8日(日)10:30~12:30
参加費:2,000円
内容:いまだ全容を解明できない古代の焼き物ファイアンスについて講義を聞いた後、実際に生地を作るところから成形まで挑戦していただきます。博物館でお預かりして焼成したものを後日お渡しします。
定員:30名

②【子どものオリ博体験講座】ファイアンスのひみつ(子ども向け)
日時:10月8日(日)14:00~16:00
参加費:500円
内容:古代の焼き物ファイアンスについて簡単な説明を聞いた後、実際に生地を作るところから成形まで挑戦していただきます。博物館でお預かりして焼成したものを後日お渡しします。
定員:20名

①・②ともに
講師:南澤 武蔵(東京大学教育学部附属中等教育学校 社会科教諭)
会場:サンシャインシティ内会議室
申込方法:事前申込制 ※詳しくは、博物館公式ウェブサイトをご確認ください。

 

■あなたのお気に入り展示品を描いてみよう!
日時:9月23日(土・祝)~11月19日(日)
参加費:無料 ※別途入館料
内容:展示されている資料からお気に入りを見つけて自由に描いていただきます。描いたイラストは館内に展示できます。
会場:古代オリエント博物館展覧会場内
申込方法:申込不要

 

 

●その他

■特別展に伴う周辺施設でのイベント
①豊島区庁舎まるごとミュージアム「ミュージアムに行こう!Vol.6」
豊島区庁舎にて本展の見どころなどをパネル展示。
期間:10月2日(月)~11月19日(日)

②「としま みんなで大冒険!」
豊島区のミュージアムや図書館をめぐるミュージアムラリーを開催。達成した方には先着で記念品をプレゼントします。(無くなり次第終了)
期間:9月23日(土・祝)~9月30日(土)

③豊島区中央図書館関連図書コーナーの展開
豊島区中央図書館内に本展の関連図書コーナー設置。
期間: 9月23日(土・祝)~11月19日(日)

④「としま文化の日」連動イベント
豊島区「としま文化の日(※)」にちなんで、豊島区の
ミュージアムをめぐる秋の連携イベントを開催します。
※豊島区では毎年11月1日を「としま文化の日」としており、バラエティに富んだイベントを実施しています。

※詳しくは、博物館公式ウェブサイトをご確認ください。

 

 

————————————————————
■古代オリエント博物館 概要
●所在地:東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ 文化会館ビル7階
●営業時間:10:00~17:00(最終入場は16:30)※変更の場合あり
●特徴:文明発祥の地といわれる西アジア・エジプト地域の古代文明を紹介する目的で、サンシャインシティオープンと同じ1978年、日本で最初の古代オリエント地域専門の博物館として開館。西アジア、エジプト地域を中心として、旧石器時代からサーサーン朝時代までの資料約5,000点、及びシリア出土品を多数収蔵する。
●問合せ先:古代オリエント博物館  03-3989-3491  https://aom-tokyo.com/ 
————————————————————

 

※状況により、内容・スケジュールが変更になる場合がございます。
※画像はイメージです。
※金額はすべて税込です。

 

【株式会社サンシャインシティ】プレスリリースより

 

 

 

<過去の関連記事>
2023年度 古代オリエント博物館 夏の特別展「西アジアのいきもの」

【会場レポ】「ヒンドゥーの神々の物語」が古代オリエント博物館で開幕!約500点の展示から、現代でも変化し続けるヒンドゥーの神話の在りようを見る

【会場レポ】「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界―」展が古代オリエント博物館で開催!現存最古のフォペルの地球儀に注目

Top