2023年7月14日(金)~8月7日(月)までの期間、池袋PARCOではNintendo Switch版『Ib』発売記念『凱旋・ゲルテナ展』(以下、凱旋展)が開催されています。
開催に先立って行われたメディア向け内覧会に参加してきましたので、会場の様子をレポートします。
『ようこそ ゲルテナの世界へ』
2012年にkouri氏が発表した、PC用の探索型ホラーアドベンチャーゲーム『Ib』(イヴ)。謎めいた芸術家ワイズ・ゲルテナの個展が開催されている美術館に閉じ込められた主人公の少女イヴが脱出を目指すという内容で、魅力的なキャラクターや考察しがいのある物語が、今なお多くのファンを魅了し続けるフリーゲーム界の金字塔です。
2022年にリメイク版がSteamで配信。2023年3月にはリメイク版のNintendo Switch移植版が発売されました。
その発売を記念して、同月に渋谷PARCOではゲームの舞台となった「ワイズ・ゲルテナ展」を作者kouri氏監修のもとで再現した『ゲルテナ展』を開催。名古屋・心斎橋・静岡にも巡回し、延べ3万人以上の動員を達成するなど大盛況となりました。
そんな各地での反響を受けて内容をパワーアップさせたものが、今回開催される凱旋(がいせん)展。ゲーム内に登場した不思議で不気味なワイズ・ゲルテナの絵画39点に新作15点を追加し、新しい鑑賞体験ができる新ゾーンも追加展示されています。
入場特典として、「ゲルテナ展キービジュアル・アクリルスタンド」か「凱旋展限定 薔薇の花瓶アクリルスタンド」を選ぶことができました。(なくなり次第終了)
会場の入り口では、ゲーム内のキーアイテムである一輪の薔薇が出迎えてくれます。
薔薇の横には、
『ようこそ ゲルテナの世界へ』
本日はご来場頂き 誠にありがとうございます。
当館では現在【ワイズ・ゲルテナ展】を 開催しております。
ゲルテナ氏が生前描いた あやしくも美しい絵画作品たちを
どうか心行くまで お楽しみくださいませ。
と、見覚えのあるキャプションが設置されていて、プレイ経験のある方なら一気にゲームの記憶が蘇ってくるはず。会場内のBGMもおなじみの曲が使われているので没入感がありました。
絵画は変にリアルにせず、ゲーム内でドットで表現されたビジュアルが忠実に再現されています。PARCOの担当者に話を聞くと、作品は登場人物との対比でおおよその大きさを割り出しているそうです。イヴたちが体験したものをそのままのスケール感で楽しめるのがうれしいポイント。
よく観察すると、しっかりキャンバス地にプリントされていて本格的。額縁もなるべくゲームに近いものを採用しているのもこだわった点だといいます。
展示数は50点あまり。ゲームに登場する作品すべてが見られるわけではなく、またスペースの関係で展示構成も異なるため、完全再現というわけではありません。
ただ、ゲームとは違う同展ならではの試みとして、「目」「心」「景」「虫」などのカテゴリで区切れる作品をゾーン分けしたとのこと。つまり、ゲルテナの目を通した「目」や「心」がどういったものだったのかを概観できるように意識したキュレーションになっているんです。そこ注目してみると、一般的な個展を鑑賞するのと同じように作家に対する理解が深まるかもしれません。
新作としては、物語の冒頭で登場した、昆虫の成長と死を描いた5点の連作《プロローグ》~《エピローグ》や、《心の音》《心の傷》《蛇蝎の精神》といった「心」に関する作品などがありました。
ここまで写真で紹介したのが会場の前半。後半については残念ながら詳細な画像の掲載がNGでしたので、ざっくりと文章で紹介します。
大迫力の《深海の世》の空間展示や、恐怖体験できる新ゾーンも登場
『Ib』に登場する絵画といえば、プレイ済みの方であれば“何の変哲もないただの絵画”ばかりではないことはもちろんご承知でしょう。
ゲームと同じく、この会場でも作品たちが動き出します。《ジャグリング》の人物はジャグリングを、《せきをする男》はせきを。そして画像の奥に写っている青い髪の女性は……? 油断していると「ワッ!」と驚くことに。
画像に見える暗幕の先には、ゲーム内の「ワイズ・ゲルテナ展」でもメインビジュアルとして採用され、物語では謎めく世界への入り口となった《深海の世》の空間展示が続きます。
巡回展でも《深海の世》は展示されていましたが、凱旋展では何倍にもスケールアップ。「ここから異世界に行ける」と言われれば信じてしまいそうな、現実と非現実の境界があやふやになった禍々しくも神秘的な世界が広がっていました。凱旋展最大のハイライトです。
ハイライトはもう一つあり、それが凱旋展でしか体験できない新ゾーンです。
「『Ib』をプレイしていて一番怖かったイベントはどれ?」と質問したら多くの人が回答しそうな、とある部屋で登場キャラクターのひとりであるギャリーが遭遇したイベントを体験できます。筆者は開始1秒で「あのシーンだ!!」と一気にテンションが上がりました。
ギャリーと違って、私たちは何も行動することができない……。ただ事態に身を任せるしかない臨場感のある恐怖にさらされて大満足でした。
気になるグッズについてですが、凱旋展を記念して、各会場の展覧会の様子や展示作品を撮り下ろして収録した展覧会公式図録や、本展で展示する全作品を収録したポストカードブック・コンプリート版が新たに発売されています。
また、新種のトレーディングアクリルスタンドやレンチキュラーカードが追加されるほか、アクリルジオラマは「イヴ」、「ギャリー」に続いて待望の新Ver.「メアリー」も新登場。好みのアクリルスタンドをゲットすれば、自分だけの『Ib』の世界を作ることができますよ。
会場にはゲーム内でセーブポイントとして使われた羽ペンとノートが、来場者が自由に書き込めるアイテムとして置かれていました。各々好きなメッセージを書くのではなく、こぞって訪問時間とともにセーブの文言を残していたのが面白かったです。
少ないドット数でこれほど豊かな表現が生み出せるのかと、あらためて『Ib』の、ひいてはゲルテナの作品の魅力を振り返れる内容でした。グッズも含めてじっくり鑑賞して、筆者の所要時間はだいたい20~30分程度でしたのでご参考まで。
この凱旋展が、ゲルテナ作品が鑑賞できる最後の機会だと明言されています。7月14日現在ほとんどチケットは売り切れていますが、足を運べる方はぜひお見逃しのないようご注意ください。
開催は2023年8月7日(月)まで。
■Nintendo Switch版『Ib』発売記念『凱旋・ゲルテナ展』概要
イベント期間 | 2023年7月14日(金)~8月7日(月) 11:00〜21:00 ※入場は閉場時間の30分前まで ※最終日は18時まで |
会場 | 池袋PARCO 本館7F PARCO FACTORY (東京都豊島区南池袋1-28-2) |
入場料 | 1,000円(税込)
※凱旋展限定 薔薇の花瓶アクリルスタンドまたはゲルテナ展キービジュアル・アクリルスタンド付き |
主催 | パルコ |
協力 | kouri/株式会社アクティブゲーミングメディア/PLAYISM |
公式詳細ページ | https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=1240 |
※本記事の内容は取材時点(2023/7/13)のものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は公式サイト等をご確認ください。
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